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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「誠実団交義務」 組合に対する会社側の義務

昨日、労組結成の話を記事にしました。会社側は「真摯に対応したい」としていました。


労働組合に対して会社はどのような態度をとったらよいのでしょうか。ちょっと勉強してみました。


労働組合法では、使用者が団体交渉を正当な理由なく拒むことを禁じています。(7条2号) 更に、条文で明文化されているわけではありませんが、判例法理として「誠実交渉義務」あるいは「誠実団交義務」というものがあります。

モデルケースとなった判例があります。(カール・ツァイス事件、東京地裁判決 平成元年、9.22)


会社側が組合活動についての便宜供与(組合役員の配転同意条項、チェックオフ、事務所、掲示板の貸与、電話、会議室の使用)を一切拒否するとともに、その後の交渉にも応じようとしなかったことについて、地方労働委員会が誠実に団体交渉するように命じました。それを不服として会社側が裁判を起こしたものです。


判旨では、会社は団体交渉の席につくだけではなく、誠実に交渉にあたる義務があるとしています。


具体的には、「自己の主張を相手方が理解し、納得することを目指して、誠意を持って団体交渉に当たらなければならず」、「必要な資料を提示・・・」、「労働組合の要求に対し譲歩することができないとしても、その論拠を示して反論するなどの努力をすべき」、として、


さらに、「労働組合の要求に対し、これに応じたり譲歩したりする義務まで含むものでないが、応じられないのであれば、その理由を十分説明し納得が得られるよう努力すべき」としています。


組合の要求を頭から拒否したり、根拠のない反論、不合理な主張などは許されないということですね。


また、団体交渉に不当な条件をつけたり(ユニオン・ショップの要求をやめなければ団交に応じないなど)、場所や時間や人数などを一方的に制限したりするのも、「誠実義務違反」とされます。 


この判例では「合意を求める労働組合の努力に対して、」という文言があり、組合側にも当然合意を目指して努力する義務があるとされるのが学説での考え方です。


誠実に交渉義務を尽くしたにもかかわらず意見の相違が解消されず、行き詰った時にはもちろん使用者側は交渉を打ち切ることができるとされています。(日本育英会事件、東京地裁判決昭和53.630) また、組合側の交渉態度が不誠実であれば、未協議の事項が残っていても交渉の打ち切りが認められています。(大同印刷事件、福岡地裁判決 昭和62.11.24)


そのようにみてくると、多分に主観的な面や相対的な面もあるのかなという感じがします。お互いに意見を押し付けず、譲歩できる点を見出すように努力するという交渉態度が重要ということなのでしょうか。


最近、若い方たちの間で、今の労働のあり方がこれではいけないという動きが少しづつ起きているように思います。昨日記事にしたブログで労組を結成などという報道を受けて、自分達もできるかもしれないと思った方もいるかもしれません。もしかしたら、既存の労組とは一味違った労組が今後結成される可能性もあると思います。


そんな時、経営者側はあわてることなく、誠実に義務を果たしていただきたいと思います。


〔今日の参考文献〕  別冊ジュリスト№134 労働判例百選 P174~175  労働法入門 外尾健一著 有斐閣双書 P194~200


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