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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

解雇はそんなにしにくいのか

政府の規制改革会議の雇用ワーキンググループが、解雇しやすい限定正社員制度を設けることを提言するとの報道があります。
勤務地や職種、働く時間をあらかじめ会社と約束する契約の正社員だそうで、長時間残業や全国転勤できない人も正社員として働ける、経営者側としては限定した勤務地、職種などが経営上の理由でなくなった場合などに簡単に解雇できるというメリットがあるそうです。
解雇しやすいことがはっきりすれば企業が余剰人員を抱え込む心配をせずに人を雇いやすくなり、経済活動が活発になるとのねらいがあるそうです。
この会議のメンバー(
参照)をみると、いわゆる有識者という方々と経営者のようです。労働者側は入っていません。
労働者側を入れるとまとまりがつかず提言などできないと考えているのかもしれません。

職種や勤務地を限定する働き方はすでに実際に行っている企業もあります。
また、現行の法律の枠内でも、基本的に雇用契約は契約関係ですから、互いの意思が合致すれば限定正社員的な契約は可能です。
限定した勤務地や職種がなくなった場合は辞めていただくという契約をすればよいだけだと思います。
ワーキンググループでは、本人の同意なく正社員から限定正社員にされないこと、希望に応じて正社員と限定正社員を行き来できることも提言するそうです。
前者については、同意がなければ労働条件を変更できないというのは現在も労働契約法にあり、あったりまえのことだと思うのですが。

日本の雇用状況は解雇がしにくい、ゆえに企業が人を雇いずらく結果的に雇用がなかなか動かないというのはよく言われています。
果たして本当にそうなのでしょうか。
期間の定めのない雇用契約は労使双方に解約の自由が保障されています。労働者側は自己都合退職、使用者側は解雇という形で一方的に契約を打ち切ることができます。
使用者側には解雇する権利があり、正当な理由があれば解雇できるのです。しかし、解雇しずらいと思われているのは「客観的合理的な理由を欠き社会通念上相当」な理由がない限りはその権利を濫用したことになり解雇無効となるという法律条文があるからでしょう。(労働契約法第16条)

特に、経営上の都合による解雇の場合は判例法理により、
1.本当にその必要があるのか 2.解雇を避ける努力を最大限したか 3.人選は妥当か 4.説明と協議を尽くしたか を厳しく問われます。しかし、現実には裁判になったり労働審判、労働局への相談などの何らかの法的解釈がされる場に行かない限りは、それを問われないまま終わってしまうこともあるでしょう。
また、この4要件と言われることをクリアーするぐらいのことを経営者に求めるのは、それほど厳しいこととも思えません。
人を雇うことの責任を経営者は自覚するべきだし、経営上の失敗の責任を労働者におしつけるのはちょっと違うと思います。
「雇い雇われ」という関係の中で弱い立場になりがちな労働者を保護するのが労働法の大きな目的ですから、このような法的解釈も当然とも思えます。
だから、解雇がしずらくなって困るんでしょと経営者側の声が聞こえてくるような気もしますが、きちんと丁寧に手順を踏んでいけば解雇できる権利は持っているのですから、うまく権利を使えばよいと思います。
「解雇しやすい」と法律のお墨付きを与えるような正社員を増やすことで経済が活性化されるとも思えないし、良い社会になるとは私には思えません。

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