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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働契約と雇用契約の違い

当地は、猛暑が続いていますが、必要があって「労働契約」についてあらためて勉強しました。
私は、民法でいうところの雇用契約と労働契約は内容的にはほぼ同じものと考えていました。
民法で規定されている「雇用契約」について、言葉を変えてより労働法に特化したものと何となく考えていました。
基本的には、当事者の自由な意思に基づき合意により成立する民法でいう「契約関係」だと考えていました。
今日、『労働法』(弘文堂 菅野和夫著第10版)を読み直してみて、「労働契約」は雇用契約の特殊性を考慮して、戦後、労働基準法により創設された新しい契約概念だとの記述があり、ほぉーっと思いました。

民法では、相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対して報酬を与えることを約するとしていて、使用者と労働者の関係である「雇い・雇われ」という関係を規定しています。
民法では契約の当事者はあくまでも平等であり、それぞれの権利義務関係を合意により果たすというのが原則ですので、雇用契約の場合もそのように想定しています。
しかし、現実には、「雇い・雇われ」という関係の中では、圧倒的な交渉力の差があります。仕事がほしい労働者は使用者の言いなりになりがちと考えられますから、劣悪な条件を示されてもなかなかNOとは言いにくい。
すると、使用者側がどんどん自分に都合のいい条件を押し付けてくる可能性もでてきます。
これでは、対等な契約関係など望めません。

そこで、労働基準法では民法の「雇用契約」を想定しつつ、そこにある実質的不平等や組織的な労働関係(会社対個人)である支配的特色を意識して、それらを反映して「労働契約」という概念を創設したのです(前掲菅野84頁)。
確かに、労働基準法では「雇用契約」とは言いません。全て「労働契約」となっています。さらには、2007年には労働契約法も制定されて、「雇い・雇われ」の関係のうち、弱い立場になりがちな雇われる方を保護する、そのための契約はどうするかということが法律で規定されるようになりました。

さて、本を読み進めていくと、最終的には雇用契約も労働契約も同一の概念とみることができると書いてあって、契約書を「労働契約書」にするか「雇用契約書」にするか悩まないでもよいとわかったのですが、民法では、最近、「組織的契約」、「関係的契約」、「制度的契約」などの契約理論があるそうです。
就業規則で縛られる労働契約もこれらの契約の範疇に入りそうだが、最終的には当事者の合意が基本原則だし、就業規則より個人で結んだ契約が有利な場合そちらが優先されるので、いずれの理論でも割り切れないとの記述がありました。
労働契約とは結構複雑なことを含んでいる契約なのだということがわかったのでした。

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