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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

会社が有給休暇取得を認めない場合

当地はというより日本全国どこも暑いようですが、猛暑ですから事務所ひきこもり状態を続けています。
所属している勉強会で次の例会に勉強する判例を読んでいます。
会社が社会保険に加入させなかったこと、有給休暇を与えなかったことについて労働者側がそれらが不法行為であり精神的損害を被ったとして慰謝料を請求している裁判例です。
同時に固定残業代に対する残業代未払請求もあるのですが、私は前者の不法行為責任追及の方が面白いと思いました。

舞台はIT系の派遣会社で、会社と契約するときに社会保険に加入しない契約社員の方が正社員より手取り額が多いとの説明を受けたため、社会保険に加入しなかった労働者の訴えです。会社が社会保険加入について妨害をしたためだと訴えています。
それについては、契約時に説明がなされ、本人も承知していたということで訴えること自体がおかしいとした高裁判決と、年金額が減額してしまうという将来に対する不安感を認め、精神的損害の慰謝料として10万円を認めた地裁判決とで結論が分かれています。
地裁では、会社側が社会保険は条件にかなえば本人の希望など関係なく加入させなければならないのに、あたかも本人の希望により加入しなくてもよいかのような説明をしたことについて考慮しているようです。
もっとも、原告労働者は雇用保険には自ら希望して加入することにしているため、手取り額を増やすために社会保険加入をしないことを了承したと推察されるとして、妨害したとまでは言えないとしています。

有給休暇を取得できなかったことについては、地裁では原告の勤務状況を勘案して結局は有給休暇を取得したのと同じ状況になっているとして、精神的損害をこうむったとしてもせいぜい2万円としています。高裁ではさらに形式的に有給休暇取得がなかったとしても、実質的には有給休暇を取得できている契約になっているとしています。
労働者側が結局は休暇を取得していて、月間160時間を標準的な勤務時間として、140時間以上勤務すれば160時間に満たなくても基本給から控除せず、180時間までは160時間を超えても時間外手当はないとしているやや変則的な給与支払をしていたため、休暇取得日数と給料とを計算して、実質的には有給休暇をとった以上の給料が支払われているとしたものです。
このあたり、形式よりあくまでも実態を重んじる労働法の考え方が反映されています。
また、有給休暇をとらせてくれないというよろしくない会社がたまにあるようですが、労働者には取得の自由があります。とりあえず取得を宣言して休んでしまうのも一つの方策です。それについて会社が給料を支払わない、ひどい場合は減給をするなどした場合は、明確な法違反となりますから、労働基準監督署に申告すれば対処してもらえます。
しかし、そうは言っても会社とトラブルになるのは嫌だと我慢している労働者が多いのだろうなと思います。
労働法を労使ともに知っていただくこと、法律を守る意識を持っていただくこと、これしかないのかなと思います。

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