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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

うつ病自殺の小児科医、労災と認められる

昨日、東京地裁でうつ病で自殺した小児科医を労災と認定する判決がありました。(参照)


都内の民間病院に勤務していた小児科医(当時44歳)がうつ病にかかり、99年に自殺した事例です。管轄労働基準監督署は、①うつ病発症までの時間外労働の月平均が50時間だった、②当直中は仮眠や休養も可能で実労働時間はさらに下回る。として、発症の原因をこの医師個人の「脆弱性」にあると主張していました。

裁判長は「小児科の当直では睡眠が深くなる深夜に子供を診察することが多く、十分な睡眠をとることは困難」と指摘しました。また、「社会通念に照らし、心身に対する負荷となる危険性のある業務」と認めました。要するに、一律に労働時間で判断するのではなく、労働の質の点にも踏み込んだ考え方を示したのです。


当時、この医師の勤務していた病院の小児科では、転職や育児による退職などが相次ぎ、この医師は部長代行として代わりの医師の補充の手配にも頭を悩まし、自らも少なくなった人員をカバーするため、過酷な勤務状況におかれました。


自殺した年の3月の勤務状況は、当直8回、休日出勤6回、24時間以上の連続勤務が7回、休みは2日だけだったそうです。そんな状況の中でうつ病を発症し自殺したのに、「個人の脆弱性」として斬って捨てようとした労働基準監督署は、非常に問題があると思います。裁判までいったということは、当然、審査請求も再審査請求もはねつけられたということでしょう。


今までの例ですと、過剰な勤務とするには自殺前6ヶ月の超過勤務が平均100時間以上だと認められやすいというのを、試験勉強の時見たような気がしますが、通達では業務による強い心理的負荷が認められることと、業務以外に発症の原因が認められないことなどが判断の基準になっています。


裁判所は、この基準を踏まえ単純な時間ではなく、質の面を重視したと思われますので、とても良い判断をしてくれたと思います。それにしても99年以来7年半の歳月が費やされたわけですから、裁判はもうちょっと短期間で済むように何とかしてほしいですね。これで、国側が控訴したら更に時間を費やすことになるので、控訴はやめていただきたいものだと思います。


今、小児科医の不足が言われています。小さな子を診察するのは大人とは違う苦労やストレスがあると思います。病状が本人の口からはっきり聞けないし、白衣を見ただけで泣き出す子もいますし、休日、深夜、関係なく呼び出されることも多く、それだけ大変な仕事だと思います。


まかり間違うと訴訟になるという産婦人科医の不足も言われています。どの科を選ぶかは医師個人の自由ですし、適性もあると思いますが、大変なことはやめようと考えないですむような、処遇の仕方を国は早急に考える必要があると思います。結局、医師不足で困るのは国民なのですから。

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