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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労基法3条における差別的取扱い

労働基準法第3条では、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として労働条件を差別してはいけないとしています。
この規定に違反するとして外国人研修生が賃金その他の差別的扱いを違法として訴えた裁判例が、判例集に掲載されていてちょっと興味深かったのでご紹介したいと思います。(東京地判平24.4.20デーバー加工サービス賃金等請求事件)
外国人研修生制度は、発展途上国の人に日本で技術を習得してもらって、本国に帰りそれを活かしてもらうといういわば国際貢献の制度ですので、本来は労働者性がなく労働基準法の適用からは外れます。しかし、近年、人手不足の中小企業などで安い労働力として受け容れ、普通に仕事をさせてしまう例があり、そのような場合には、裁判などでも「労働者性」が認められています。
この裁判もその流れだと思いますが、他の正規労働者との差別がどの点が不合理で、どの点が合理的と考えるかについて具体的に示しています。

まず、労働者性の判断としては、来日後3週間あまりの日本語教育と導入研修を受けた後、すぐに工場のラインに配属されて、工場の勤務カレンダーどおりの日程で作業していることから、会社の指揮監督の下、生産活動に従事していると評価できるとして、「労働者」だと認定されています。
従って、労働基準法が適用されることになりますので、第3条にある国籍による差別について検討していかなくてはなりません。
そうすると、とりあえず、賃金は最低賃金は絶対支払わなくてはならないとなりますが、最低賃金を適用してもまだその会社の高卒初任給と差額(4万円)があり、これが3条にある国籍による「差別的取扱い」にあたるかを判断しています。
裁判所は、高卒の新規従業員は期間の定めのない従業員であって、会社で培った技術を後に会社の中で活用したり、幹部候補生を輩出するなど、将来にわたり会社に貢献することが予定されているため、比較的短期間で必ず帰国する外国人研修生・技能実習生(技能実習生は最初から労働者扱いとなる)とは、その期待される役割が違うとして一定の合理的差別は認められるとしています。

では、前述の差額はその一定の合理的範囲かをさらに検討しています。それは、日本人従業員の76%にあたる額で、会社が受け容れ管理費など180万円を超える費用負担をしていること等、また、この外国人研修生は必ずしも日本語能力があるとはいえず、その点でも日本人従業員と「完全に同等の業務遂行能力を有してしたとまでは認めがたい」として、この差異を合理的範囲と認めています。
原告は、寮費を21,000円ないし29,000払っていたのに、日本人従業員は10,000円なのは3条にある国籍による労働条件の差別との訴えもしています。
これについては、多大な格差で合理性がないとされました。
裁判所は、本来、従業員寮は従業員の福利厚生のための施設として利用者に対し平等に利用料を負担させるべき性質を有するとして、福利厚生に対する差別については合理的範囲を狭く考えているようにも見えます。

外国人に限らず、正社員と同じ仕事をしていて、期間の定めもない(雇用期間があっても実態として定めがないとみなされる場合もある)非正規社員の労働条件について、企業は合理的説明ができるかを常に意識していかなくてはいけないと思います。

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