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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

首相はやっぱり明治時代に戻りたい?

労働契約は労働者が使用者に労働力を提供して、それに見合った賃金を得るという契約関係です。本来は対等の関係であり、契約自由の原則により条件は互いの合意により決めることができます。しかし、「雇い、雇われ」という関係では、どうしても労働者側は弱い立場となります。
雇ってほしい、また雇われた後でも失業したくないという思いがあるので、言いたいことも遠慮してしまうという関係になりがちです。
それを放置していると、低賃金、長時間労働、使用者の思惑や経済情勢による簡単な解雇などが横行することになります。
実際、明治、大正、昭和の労働基準法などの法整備が進んでいなかった頃は、劣悪な労働環境が当たり前のように存在していました。悪徳職業紹介事業者などもいて、中間搾取、強制労働など労働者受難の時代があり、そのような時代を経て、憲法の基本的人権の保障とあいまって、今日の労働者を保護するという労働法の精神が発展してきたわけです。
安倍政権はまさにその精神を踏みにじろうとしているのだろうかと思うようなことが報道されています。

首相が議長を務める産業競争力会議では、労働時間に関わらず賃金が一定となる働き方を一般社員に広げることを検討しているそうです。
第1次安倍内閣のときに出してきてすぐにぽしゃった「ホワイトカラー・エグゼンプション」ですが、今般の案では、最初、年収1千万円以上の労働者としていた条件を相当緩和することになりそうだと報道されています。
収入が高くなくても労働組合が合意した対象者と、さらには本人が同意した労働者に広げるそうです。
この「同意」というのはくせものです。前述したように立場上弱い労働者側は意にそまない「同意」をする可能性があります。かくして経営者はどんなに長時間働かしても残業代を払わないですむようになり、働かせたい放題ということになります(後述のように現実はそう簡単ではないと思いますが)。
今でも同じようなことをしている会社があります。
残業代の支払いを定額にして、毎月定額を残業代として支払う方法をとる場合です。多くは、支払った額以上の労働時間となる場合が多いようですし、法律上は超えた分について残業代を支払わないと違法です。しかし、労働者側が労基署に申告したり訴訟を起こさない限り是正されずに終わっている(労働者が泣き寝入りする)場合が多いでしょう。
そのやり方が合法となる可能性があるというのはどうなんだろうかと思います。

法律によりそれに歯止めをかけるとしたら、現在義務となっている使用者の安全配慮義務と労働時間管理の義務をさらに厳しくするという方法があるでしょう。
残業代を払わずに働かせたい放題とするのは間違いで、それにより労働者が健康を害したりすれば使用者の安全配慮義務違反となる可能性があります。また、労働時間の管理をする義務がありますから、法定労働時間が適用される労働者がいる限りは、法定労働時間とのかねあいで、あまりにも実態とかけ離れた労働時間と賃金の関係は許されないと思います。
憲法改正案をみてわかるとおり、安倍首相は明治時代に戻りたい人らしいですが、労働時間管理について明治時代に戻したいとは恐れ入ります。しかし、明治時代とは大きく変化している労働法の枠組みを明治時代まで逆行させるのは難しいのではないでしょうか。
報道によると、仕事の成果により賃金が決まるやり方としているらしいですが、会社は人の集団です。人には数値で図れないことがたくさんあり、目にみえた数字だけで人を判断することはできないというのが成功している経営者の多くが語ることです。
仕事の成果をどう図るかが確立できていない昨今、そんな「成果主義」もちょっと古さを感じてしまいます。

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