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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

条文の言葉一つの重み

法律の勉強をしていたときに、学者の先生たちというのは一つの言葉に本当にこだわって、あーでもない、こーでもないと様々な説をたてていらっしゃることにつくづく感心しました。
社労士になってからも、仕事の必要に迫られたり、所属する研究会等の勉強で必要があったりして本を読むことがあるのですが、いつも、学者の先生たちのその文言に対するこだわり方には敬服してしまいます。
今、必要があり調べているのは有給休暇についてなのですが、私は単純に有給休暇取得について不利益な取り扱いは禁止されると理解していました。

根拠としては、労働基準法は121条までありますが、それにつけ加えられて附則があります。その第136条で「使用者は第39条第1項から第4項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなければならない」との条文があり、
この39条は有給休暇についての規定ですので、有給休暇取得にからんで不利益取り扱いはしてはいけないのだと解釈していました。
ということは、有給休暇を取得したことで欠勤に準じた扱いとして皆勤手当を出さないなどということは、法律的に問題があると考えていました。
賞与についてもその日数分の減額などもしてはいけないし、取得の申し出に対して、嫌な顔をする、嫌味を言うなども、労働者の就業環境を害して不利益を与えますから、使用者たるものしてはいけないと思っていました。

とーころが、この条文の不利益な取り扱いを「しないようにしなければならない」という文言が、努力義務規定と解釈できるという見解もあるのですね。義務規定であるならば、「してはならない」とするべきだという説です。確かに、「しないようにしなければならない」というのは何となく曖昧な感じもしないような気がしないでもないような気がするの?しないの?れれれという感じですね。
法律の規定で「義務規定」と「努力義務規定」は全く違います。前者は絶対にしなくてはいけない。しないと法違反。後者は「するように努力してください。できなければ、まあしょうがないですね」という規定で法違反は問われません。
もちろん、強行的な禁止規定だとする説もあり、その中間だとする説もあります。「しないようにしなければならない」という微妙な言い回しのために学者の先生方もあーたら、こーたら、いろいろお考えをめぐらせて大変なようなのです。
裁判例でも、皆勤手当を出さなかったことについて違法とまでは言えないとしたもの、違法だとしたものとあり、裁判所の解釈は個別具体的な事情をみて判断しています。

しかし、有給休暇は法定の要件を満たせば当然に発生する権利であるとの解釈は確立されています。(最判昭48.3.2国鉄郡山工場事件、林野庁白石営林署事件)しかも与えないことについては罰則(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)もあります。
そのような権利について、抑制的な言動は許されないはずであり、不利益な取り扱いをすることは使用者としては控えるべきだと思います。
実際、行政通達では、①賃金の減額という不利益取り扱いの禁止 ②賃金以外のその他の不利益な取り扱いの禁止であるとして、皆勤手当などは有給休暇取得の日も出勤したとみなして、ちゃんと支給するようにと指導しています。
行政当局は、有給休暇取得の権利の行使を抑制するような行為は法の精神に反するとして、賞与の減額などもしないように指導しています。
今さら、こんな文言の微妙さに気がつくなんて、ちょっぴり恥ずかしいと思いながらも今日も勉強になったと思うのでした。

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