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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

有給休暇の時季変更権

このところ、ある雑誌に頼まれた原稿を書くために有給休暇について総復習しています。
やはり気になるのは使用者の「時季変更権」の行使です。
過去記事にも書きましたが(
参照)、労働者が有給休暇取得を申し出た場合、使用者は理由や日づけについてあれこれ言うことはできません。有給休暇取得の権利が発生している人には原則として、本人の希望する日に休暇を与えなければなりません。
労働基準法では、「事業の正常な運営を妨げる場合」は別の日に与えることができると規定されています。これを使用者の時季変更権といいます。
有給休暇をいつとろうと、本来は労働者の自由ですから、このときに、別の日を指定する必要はありません。むしろ、指定してはいけません。「別の日にしてください」と言うだけで、その「別の日」をいつにするのかは労働者の自由ということになります。

さて、この時季変更権を使えるのはどういうときなのでしょうか。
過去記事にもいろいろ書きましたが、有給休暇は条件にかなえば労働者に当然発生する権利と考えられていますから、使用者側は当然労働者が有給休暇をとるかもしれないと想定しておかなければなりません。
時季変更権はその日はだめでも、別の日に取得可能でないと行使できませんから、恒常的な人手不足を理由としてでは時季変更権は使えません。それでは、労働者はいつまでたっても有給休暇が取得できないからです。
過去記事に裁判での考え方を書きましたが、裁判では使用者側に結構厳しい結論が多くなっています。事業内容や事業所の規模など、総合的に考えるとはしていますが、「できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすることを要請される」(最判昭62.9.22横手統制電話中継所事件)など、使用者側にかなりの努力を求めています。
何の努力や配慮もせずに「忙しいからダメ」などということはできないのです。
ですから、繁忙期であってもそう簡単に時季変更権は使えない、何人か重なったときなどは事業所の状況にもよりますが使える余地があるということになるでしょう。

私も昭和の人間ですから、繁忙期に有給休暇を申し出るというのはいかがなものか、という気持ちがかつて会社員だったころはありました。
有給休暇どころか、繁忙期によく生理休暇を取得する女性社員がいて、その人に対してもあまりよく思えませんでした。結局、回りが大変になりますから。
しかし、今はちょっと違います。労働者に与えられた当然の権利を実現するのは使用者の義務であり、職場環境を権利実現のために整えるのも使用者の義務であると考えています。
わが国の有給休暇取得率は5割を満たさずに推移しています。
やはり、労働者側に遠慮があるためでしょう。使用者としては、時季変更権を使おうなどとは思わず、有給休暇取得率100%を目指していただきたいし、そのための労務管理をどうしたらよいか、ご提案していきたいと思うようになりました。
昨今、人手不足が言われだしています。多少、給料が安くても有給休暇取得率100%というのは大きな魅力になると私は思っています。


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