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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

キャノンの正社員化 たったの?1000人

昨年来偽装請負の批判を受けていたキャノンが、グループ各社の工場で働く非正規雇用の労働者の正社員化を発表しました。


2008年末までに1,000人を正社員に登用するそうです。


先にパート社員の正社員化を発表したアパレルメーカー等が、5,000人、6,000人という規模でしたから、ショボイなあという印象です。製造業は小売業とは違う事情もあるでしょうが、グループ各社の派遣・請負労働者は20,000人もいるとのことですから、「そのうちのたったの1000人かい」と言いたくなります。


しかも、主に派遣労働者から直接雇用したいとのことですから、国会で証言した請負社員の方は除外されてしまうんでしょうか。

キャノンは昨年偽装請負が表面化したため、いったん数百人を正社員化する意向を示したものの、今年に入ってから先送りする方針を表明していました。ところが当ブログでも取り上げましたが、(参照)ユニオンを結成した請負社員(実態は偽装請負)の方が、今国会で証言したことにより、批判が噴出しまたまた方針転換を余儀なくされたようです。


まずは、派遣社員を期間工(2年11ヶ月の期間限定社員)として雇用した後、試験に合格した人を正社員として採用するとのことです。その試験というのがちょっとくせ者ですね。恣意的にいくらでもハードルを高くできるでしょうし、派遣社員からと表明して請負社員についての言及は何もないというところも残念です。


昨日の朝日新聞の朝刊によると、「技術を伝承し、品質を保持するためには、製造部門の中核を担う正社員がもっと多く必要だと判断した」とキャノンの広報部は語っているそうです。そうであるならば、契約形態が派遣、請負にかかわらずそれにふさわしい優秀な人を抜擢するべきではないんでしょうか。「請負社員」とはいえ実体は派遣だということがバレバレなんですから。


このニュースについてweb上で検索してみたら、「キャノンは朝日新聞のターゲットにされて批判を一身に集めてしまっている。同じようなことをやっている会社はたくさんある」というようなことを書いている方がいました。


確かにそうかもしれません。私も捏造記事など最近のメディアを全面的に信用する気になれないです。でも、一連の報道により偽装請負についての当局の監視の目が強化されたことは間違いないと思います。同じようなことをしている他の会社も、名前は出されませんが「ちょっとまずいかな」と感じているでしょうし、労働者側も自分の働き方を考えるきっかけになったと思います。


スケープゴートのターゲットしてキャノンが選ばれたのだとしたら、それは日本を代表する優良企業(と言われていた)であり、経営のトップが経団連会長にまで登りつめたということがあると思います。それだけ、社会に与えるインパクトは強いものがありますから。


日本を代表する企業集団を束ねるべき立場の人のお膝元で、若い労働者を使い捨てして利益を上げるようなことをしていたとしたら、そこには経営者としての志も心意気も感じられません。人件費を減らしてただただ利益が上がればOK、批判が出れば「グローバルな競争に勝つためには仕方がない」と言うばかり。


会社というのはただ利潤を上げるだけではなく、社会により良い労働の場を与える役割も担っていると、私は考えています。日本を代表する経済人なら、政治家とはまた違ったスタンスでこの国のあるべき将来像や正しい労使関係はどうあるべきかなどを堂々と語っていただきたいと思います。


そんな視点でみると、今回の1000人の正社員化は量も質も不満を感じます。国会で証言なさった方の今後はどうなるのだろうとちょっと心配です。

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