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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

日テレ採用内定取り消し雑感

日本テレビのアナウンサーとして就職が内定していた女性が、銀座のクラブで短期間アルバイトをしていた経歴を理由に内定取り消しをされたことについて、取消は無効だとして訴えを提起したことが報道されています。
今日から裁判が始まるそうで、朝のテレビの情報番組などでも大きく取り上げられていました。
内定が決まった学生は、通常、そこで就職活動をやめますから、いったん決まった後、それもだいぶたってから取り消されると、次の就職先を見つけることが非常に困難になります。
そんなことから、内定取り消しに関して裁判例などもいろいろありまして、リーディングケースとなっている古い最高裁判例をちょっと確認してみました。(最判昭和54.7.20大日本印刷事件) この事案では、会社側は、内定取り消し事由として、①提出書類の虚偽記載 ②共産主義運動への関与 ③卒業不可 ④健康状態の悪化 その他入社後の勤務に不適当と認められたとき を挙げて、学生に確認して誓約書を交わしています。学生は卒業前年の7月に内定を受けて、11月に近況報告書を提出したりしていましたが、翌年(卒業する年)の2月になって理由も示されず内定を取り消され、卒業後に取消無効として提訴したものです。

一審、二審ともに学生側が勝訴して会社側が上告しましたが、最高裁でも会社側の上告が棄却されました。
この事案では、会社側が取消事由としてこの学生が「グルーミー(暗い、陰気な)な印象」だったからなどと主張しました。
裁判所では、「内定」の性質について、解約権留保付就労始期付労働契約の成立としています。
内定取り消し事由として示した範囲で取消の権利を認めていますが、会社側の示した「グルーミーな印象」という理由については、社会通念上相当として是認することができず、解約権の濫用だとしました。
考え方としては、会社側は、まず内定取消事由を明確に示し、その事由に該当した場合は取り消すという説明をしておくこと、誓約書等で学生側の同意もとっておくことが必要です。

会社には、学生側に示し了解をとった理由が生じた場合にのみ内定を取り消す権利がある。しかし、取消事由が社会通念上相当と認められない場合には、権利の濫用となる。前述の裁判では、学生が内定をもらった場合、卒業後その会社に入ることを想定して他企業への就職の機会と可能性を放棄するわけですから、就労の有無の違いはあっても「採用内定者の地位は、一定の試用期間を付して雇用関係に入った者の試用期間中の地位と基本的に異なるところはない」としています。
従って取消理由についても「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができるものに限られると解するのが相当」としていて、「採用内定の実態は多様であるため、その法的性質について一義的に論断することは困難である」と断りながらも、一定の基準を示しています。

さて、このような判例に照らすと日本テレビの事例は、銀座のクラブでアルバイトをしていたことを内定取り消し事由として明確にしていたのか、また、その事由は正当かどうかが争われることになるのでしょう。
報道によると、日本テレビではクラブホステスのアルバイトが「清廉性を欠く」としているそうで、職業差別だとの批判もあります。これについて、今朝のテレビの情報番組で、年代の高い人(50代以上ぐらい)と若い人(20代ぐらい)の街頭インタビュー結果を放送していました。
意外にも年代の高い人たちの方が、「今時、そんなので差別する時代じゃないでしょ」と語り、若い人たちの方が「酒飲みの相手するわけだし、いいバイトではない」、「女子アナを目指すなら、最初からそんなアルバイトはやるべきではない」などと語り、若い人の方が「清廉性」と会社側が言うことに理解を示しているかのようにみえました。
しかし、これは、テレビ局側が勝手に編集してそのような印象をもたれるように放送しているかもしれませんので、そのあたりは私も100%信用はしていません。

私も職業に貴賤はないと思います。しかし、もし、自分の娘がクラブのホステスのアルバイトをすると言いだしたら強く反対します。先のインタビューを受けた人もシニア世代の人はそう思っているのではないかと思います。若い世代の方が本音を言っていて、シニア世代は建て前を言っているのかなとも思えます。
私は、ホステスをしている人たちに「清廉性」がないなんてことは思わないです。それは個人の内心の問題であり、職業は関係ないと思うからです。
そのような仕事の大変さや誰でもできる仕事ではないということも十分想像できますし、自ら選択してそのような仕事をしている人を否定するつもりは全くありません。そのようなアルバイトに反対するのは、「女」を強く前面に出してする仕事に好感をもてないような気がするからです。と書いてきて、しかし、「女子アナ」などと言っているテレビ局も結構「女」を前面に出して仕事をさせているような節もあるのではないかという気がします。
あらら、じゃ、ホステスと似ちゃってますね。
これって偏見なんだろうか。やっぱ偏見かなー。というわけで、様々な職業がありますが、人によってその職業に持つイメージは違いますし、どれが正しいなんてことは言えないのだろうと思います。
採用の基本は、あくまでも、目の前にいるその人が会社が求めているスキルがあるか、会社が求めている人間性があるかで判断すべきで、過去にとらわれるのはよくないのではないかなと思いつつ、自分が経営者だったら、本来勉学にいそしむべき学生時代にホステスのアルバイトをした人を雇うだろうか、うーん?・・・。
そんなことを考えたニュースでした。

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