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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

直行・直帰の注意点

昨日、記事にした「直行・直帰」についてですが、事務所に戻ってから確認の意味で手持ちの書籍、ネットでの検索などをしたりしていろいろ考え、関与先で話しただけでは足りない点もあると感じて、注意点についてまとめて、担当者にメールで送りました。
直行・直帰は労働時間の無駄を省けるし、時間的効率もよくなるということで行われると思いますが、あまり多用すると労働時間や業務の管理がルーズになる可能性もあり注意が必要だと考えたからです。
会社は、本人の申告を信ずるしかありませんから、できれば、「直行・直帰届」などを作成してあらかじめ予定がわかっているような場合は、届出てもらって管理するのもよいと思います。
少なくとも、業務開始時刻(直行した場合取引先に到着した時刻)と終了時刻(直帰の場合取引先を出る時刻)の報告を義務づけるなどは必要だと思います。
あくまでも、労働時間の把握義務は会社にありますので、会社は事業場外みなし労働制を採用していない限りはきちんと労働時間の確認をしなければなりません。

事業場外のみなし労働時間制というものがあり、外出先での行動が本人の自由裁量で会社が行動を把握できない場合に、一定の時間を決めてその時間分働いたとする制度がありますが、訪問先が決まっているような場合には、会社が管理できますから採用できません。
昨日の関与先も営業といっても取引先が決まっていて、会社から言われた訪問先に行きますので、みなし労働時間の適用とはなりません。

手持ちの書籍を見ていて面白いと思ったのは、直行とはちょっと違いますが、通常の勤務先とは違う支社や支店等に一時的、臨時的に応援などの名目で行く場合に通勤時間がいつもより長くかかる場合、その時間については労働時間ではなく通勤時間となるので賃金は発生しません。
しかし、考えようによっては、労働契約で決められた場所と違う場所での労務提供を命じられ、その分労働者側は自分の自由時間を犠牲にするとも考えられます。
その場合に、民法485条但し書きにより「債権者が住所の移転その他の行為によって弁済の費用を増加させたときは、その増加額は債権者の負担とする。」とあり、これは公平の原則の趣旨なので、交通費の増加はもちろん、労働者側の増加した必要時間について何等かの手当があってもよいと思われる。
というようなことが書いてあって、なるほどー。民法をこんなところに根拠としてもってくるんだねと得心しました。(『労働時間・休日・休暇の法律実務全訂七版』39頁 安西愈著 中央経済社)
要するに、労働契約で決められた場所で債務を履行してもらう(労働者が労務を提供する)べきなのに、債権者(使用者、会社側)の都合で場所を変えた場合には、債務者(労働者)の負担する費用の増額について債権者(会社)が負担すると考えるわけです。
民法の条文、なかなか読む機会も減りましたが、こんなときは楽しいなと思います。バリバリ企業側の弁護士のはずの著者が労働者に有利なことを書いているのもまた面白いと思いました。

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