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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

採用に対する企業の責任

サッカー日本代表のアギーレ監督の契約解除について、監督は労働法上の労働者ではなく、あくまでも独立した個人としての契約だと思うので、労働法は関係ないと思いますが、身辺調査の甘さを指摘する報道もあります。
昨日もちょっと書きましたが、私は、採用する側に相当な責任があると考えています。そういう裁判例などあるかなと手持ちの判例集などをちょっと見てみました。
大学教授が前の職場でのセクハラ、パワハラを隠したまま採用されますが、それが発覚して解雇された事例で、解雇無効としたものがありました。(
S学園地位確認等請求事件東京地判平24.1.27)

大学側の解雇理由(普通解雇)は「その職務に必要な適格性を欠くと認められた場合」にあたるというもので、セクハラ、パワハラなどの前歴については、「簡単に矯正することができない持続性を有する素質」であり、職務の円滑な遂行に支障がある又は、支障を生じる高度の蓋然性がある(確率が高いということ)と主張しています。
裁判では、採用前に告知しなかったことについて、すでに報道があった問題でもあり、今後大学に迷惑がかかる可能性も考えられるので、批判されるべき点がないとはいえないとしながら、採用を望んでいるのだから、自分に不利益になることを隠すのは、当然でもある。採用する側は、そういう可能性を踏まえて慎重な審査をするべきだったとして、採用する側の責任を重く考えて判断しているようです。
自分の不祥事について、採用される側が自発的に告知する法的義務があるとはいえないとしています。

判決文の全文が掲載されているわけではないので、わからない点もありますが、裁判所は、「自己に不利益な事項は、質問を受けた場合でも、積極的に虚偽の事実を伝えることにならない範囲で回答し、秘匿しておけないかと考えるのもまた当然」と表現しているようですから、採用する側としては、かなり具体的事実を挙げて、その有無を問わないといけないのかなという感じがします。
しかし、セクハラ、パワハラという問題は、大学としては起こされたら大変だと思うでしょうし、過去の前歴が発覚した段階で何もないうちに辞めてもらいたいというのはわからないではないです。
そのあたり、話し合いで解決できれば裁判まではならなかったのかなという気もします。
裁判所としても大学側の言い分も多少認めて、解雇は無効としましたが、解雇された方も批判されるべき点がないとはいえないとして、慰謝料の支払い請求は斥けています。
採用するときの身辺調査は、どんな場合でもなかなか難しい問題なんだなと思いました。

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