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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

就業規則の不利益な変更

新聞の片隅に40代のある労働者の投書がありました。
就業規則を変更されて将来もらう予定の退職金が最大3割も減額となったが、事前に説明はなく、理由としては周辺の同業(病院)より高かったからと言われた、納得できない。というものでした。
労働契約法では、労使の合意により労働条件を変更できると規定しています。(第8条)
労働条件をよくするときには文句を言う人はいませんから、この規定は主に条件を悪くするときに問題となってきます。
合意が得られなければ、労働条件を下げることはできません。
使用者側としては、個別の合意が得られなくても、会社全体に適用する就業規則を変更すれば、それでいいのではないかと思うかもしれませんが、やはり、同法で、労働者と合意することなく就業規則を労働者の不利益に変更することはできないとしています。(第9条)
ただし、第10条で示す要件にかなえば不利益になっても合意なく変更することができるとしています。
投書の場合は、この10条の要件をみたすかどうかだということになります。

まず、1.変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、2.その変更により受ける不利益の程度、3.労働条件変更の必要性、4.変更後の内容の相当性、5.労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであること、が要件とされ、これは過去の判例から導き出されたものです。

投書の場合は、いきなり下げられたとことを知ったらしいので、事前に労働者に知らせず、説明もせず就業規則変更を行ったようで、ここで、もう1の要件に該当しなくなってしまいます。
2については、最大3割とあるだけで、どのぐらいの幅があるのか、不利益の程度というのは多分に相対的なものだと思うので、個別の事情をみないと何とも言えません。
3については、この病院の経理状況などがわからないのではっきりしません。このまま従前の退職金を払い続けていると経営そのものが立ち行かなくなるなどの場合もあります。その場合も一気に減らさず、暫定措置などを設けてゆるやかにやっていくのが普通ですが、これも投書だけではよくわかりません。
4については、周辺の病院より高過ぎるからと言われたとありますが、周辺の水準に合わせたのか、それとももっと下げたのかがよくわかりません。
5.については組合がないので事前の説明がなかったとありますが、法律条文では「労働組合等」となっていて、これは組合がない場合には労働者の代表者など、組合に代わるようなものを想定していると思われます。要するに、労働者側に説明をするということを求めています。
この部分はクリアーできていません。
全体をみると、説明が足りないようですが、もしかしたら将来の収支など合理的な理由があるのかもしれないので、明確にだめとも言えないかなという気がします。

法律では、就業規則を不利益に変更する場合には、いくつかの条件をクリアーするなどそれなりの手続きと丁寧な説明により、個別の同意がなくてもできるとしていますが、この投書の場合は、丁寧な説明というところがクリアーできていないと思われます。
しかし、投書者が抗議しても聞き入れてくれないということですから、個別に何か言ってもとりあってもらえないのでしょう。
そのような場合には、労働組合を立ち上げて交渉する、思い切って労働審判に訴える、ぐらいにしないと、このような経営者はなかなか交渉には応じないでしょう。
でも、投書者もそこまでは考えていないようです。
そういう面倒事はみんな積極的にやりたいとは思わないのが普通です。
ある社労士が「労働法は、日本で一番守られていない法律ですよ」と言っていましたが、守ろう、又は守らせようとするとかなりエネルギーがいるということも原因なのかなと思いました。

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