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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

砂川事件のさわりを読んでみた

最近、昔勉強した憲法関連の書籍を本棚の奥から引っ張り出して読むことが増えました。
「違憲」論争で揺れる国会ですが、政府が集団的自衛権の行使容認の根拠としてもちだしてきたのが、「砂川事件」です。
最初、聞いたときはすごく違和感がありました。集団的自衛権など問題としている判例だったかなー? かすかに残る記憶ではそうではないはず。そのうち、不明を恥じて言わなくなるだろうと思っていましたが、安倍首相までが言っている。
では、判例集で見てみるかと引っ張り出してみました。
裁判というのは、実際の判決文を全部読まないと全貌はつかめません。判例集には結論とそこに至る考え方について、自民党のお歴々がリスペクトしてないらしい「学者」の先生の解説が掲載されていて、それなりの判例の性質や意味がある程度わかるようになっています。
私がよく見るのは、別冊ジュリストの「判例百選」で、このシリーズは20冊ぐらい持っています。
憲法については、ⅠとⅡがあり、砂川事件はⅡの方に掲載されています。

事件は、昭和32年、当時は東京都下の立川市に米軍の基地があったんですね。東京調達局がそこの飛行場の測量を開始したところ、それに反対して取り囲んでいた千余名の集団が柵の一部を破壊して、中に入った被告人たちが正当な理由なく立ち入ったとして、安保条約第3条に基づく行政協定に伴う刑事特別法違反として起訴されたとあります。
判例集にはそれしか書いてないのですが、ネット等で検索して確認すると、当時基地を拡張しようとしていて、それに反対して闘争が繰り広げられていて被告人は7名です。

一審の東京地裁では全員無罪です。理由は、日米安保条約が憲法違反だからとしています。憲法9条は自衛権を否定するものではないが、自衛のための戦争及び自衛のための戦力の保持を許さないもので、現実的には、国際連合の機関である安全保障理事会等のとる軍事的安全措置等を最低線とするとしています。
さらに、「合衆国軍隊は、単にわが国に加えられる武力攻撃に対する防衛にのみ使用されるものではなく、極東における国際の平和と安全維持のために必要と判断した際にも出動し得る、」「わが国が自国と直接関係のない武力紛争の渦中に巻き込まれる虞があり」、それを許容した日本の政府の行為は、「憲法前文の精神に悖る」として、最終的には、それを根拠に刑事特別法を適用するのは、憲法31条違反としています。
憲法31条は、何人も法律の手続きなしには自由を奪われたり刑罰を科せられないということが書いてありますから、適用する法律の根拠とする安保条約が違憲なんだから、おかしいという結論ですね。
米軍は極東における軍事的な戦略として日本に駐留しているわけで、日本を守るためではないとする立場は私も共感できます。

高裁ではなく、いきなり最高裁に上告することもできるということで、最高裁にいき、政府が引用しているのは、原審を破棄差し戻しとした最高裁の方の判決です。
ここでは、「主権国として固有の自衛権は否定されていない」、「憲法の平和主義はけして無防備、無抵抗を定めたものではない」「わが国が平和と安全を維持するために他国に安全保障を求めることを何ら禁ずるものではない」などしています。
結局、安保条約の違憲判断については、「高度の政治性を有する」として判断になじまないとして裁判所の審査権の範囲外としていますが、「違憲無効であることが一見極めて明白であるとは到底認められない」ともいっています。

一審では、外国の軍隊の駐留を認めることも戦力の保持になり憲法違反としたのに対し、最高裁は、憲法が禁止する戦力とはわが国の戦力のみで、外国の軍隊は含まれないとするなどの違いがあります。
書いているうちに思い出してきましたが、私が勉強したころは、この判決は安保条約の違憲か合憲かではなく、最高裁判所の違憲審査権についてというところが大きかったように思います。憲法では81条で最高裁に一切の法律、命令等が憲法に適合するかしないかの権限を有するとしています。
しかし、この判決は「高度の政治性」を理由にそれを避けています。アメリカ側からの相当な圧力があったことが、時を経て公開されたアメリカ側の文書により明らかになったと報道されています(昨晩のTBSテレビニュース23)。
最高裁としては、かなり苦心して「高度の政治性」などを持ち出したことが推察されます。
昭和32年といえばまだ戦後12年、「平和国家」として歩み始めた頃ですから、地裁判決の方が当時の人々の心情を反映しているような気がします。
やはり、私たち一般庶民の知らないところでいろいろなことがうごめいているのでしょう。判決文そのものを読んだわけではないですが、集団的自衛権については争点ではなさそうだなと思いました。そういう判決を持ち出してくる政府の「法律学的センス」に私としては強い疑問を感じました。

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