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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

ホストの労働者性を認めた裁判雑感

労働基準法をはじめとする「労働法」と呼ばれる法律はたくさんあります。
それらの適用対象となるのは主に使用者と労働者です。
前者は、資本、設備を持ち労働者を選別するため一般的に立場上強く、後者は労働力を提供するしかないために立場上弱いと考えられます。
労働法は弱い立場の労働者の権利を定め、強い立場の使用者に職場環境を整えたり、一定水準の労働条件で働かせることを義務づけています。
ですから、「労働者であるのかないのか」は労働法を見ていくうえで重要なポイントです。
労働者は「会社、事務所、個人商店等で雇われて働き賃金を受けている人」で、使用者は「事業の経営者、経営担当者など」です。
先週、歌舞伎町のホストクラブで働くホストが労働者と認定されて、店側に未払賃金の支払いを命じた裁判について報道されていました。
店側は、完全歩合制でありホストは個人事業主であり労働者ではないと主張したそうですが、裁判では店から指揮監督を受けていた働き方の実態により判断したようです。

判決文を読んでいないので、この判決についてはこれ以上はわかりませんし、言えませんので、一般的な考え方をちょっと書いておきたいと思います。
まず、「個人事業主」という考え方ですが、店側の主張としては、ホストとは「労働(雇用)契約」は結んでいない、「請負契約」だと主張したのでしょう。
前者の場合は、人を雇えば使用者として労働法の適用対象となりますが、請負という契約形態は契約当事者の一方がある仕事を完成することを約束してその仕事の結果について報酬を支払うとする契約です。
例としては、建設会社などに建物を建てることを依頼した場合などです。

現実の会社などでも、広告代理店などで個人事業主として仕事をしているデザイナーなどと契約を結ぶ場合なども請け負い契約となります。
かくいう私も、個人事業主ですから、ある会社から就業規則の作成依頼を受けた場合などは請負契約となり、就業規則の作成により仕事が完成して、報酬を受け取ることになります。
請負契約の場合は、個人であっても会社であってもあくまでも独立した立場で一方が他方を指揮命令監督するような立場にはありません。
仕事を請け負った側は自分の裁量で契約した範囲内の仕事を完成させればよいわけです。
依頼した方も契約した範囲内のことについて言う権利はありますが、何時から何時まで働けとか、どこで働けとかいう権利はありません。契約の内容により時間、場所などが特定される場合もあるでしょうが、依頼主が細かいことまで指揮命令する関係ではありません。

裁判で労働者性が問題になる場合は、形式的な契約が「請負契約」となっていても、実態として一方の当事者が他方を支配する関係にあるかを重要視します。「使用従属性」と言いますが、ホストクラブのホストの場合は、どこまで自由度があったかで判断されたのだと思います。
契約の内容としては、お客様をもてなし、それによって店側に利益をもたらす、というようなものだと思いますが、店側の管理が大きければ大きいほど労働者性が強くなります。
労働者であれば、「完全歩合制」という賃金形態も労働基準法違反となります(27条労働時間に応じて一定の保障給が必要)
報道によると、ホストの労働者性が認められたのは珍しいとありました。
ちょっと特殊な職業であったために裁判が話題になったのだと思いますが、それにより似たような状況にある別の職業の人たちも、自分の状況がもしかしておかしいかもしれないと思うきっかけになるといいのかもしれないと思いました。


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