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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

私傷病による休職後の業務転換(1)

各県の社会保険労務士会には労働相談所があり、無料で相談を受け付けています。


連合会から送られてくる月刊の小冊子にその相談所の事例紹介が出ていました。個人情報保護の関係からどこの県会かとか個人に関わる詳細は一切出ていませんが、現実にありそうな話なので判例も含めてご紹介したいと思います。


事例は、椎間板ヘルニアを患って手術したトレーラー運転手A氏が、病気休職期間6ヶ月の後、私傷病休職期間満了のため解雇となったが、後に労災が認められたため、就業規則上にある労災補償以外の部分の賃金2割について請求したいというものです。

A氏は休職期間満了前にトレーラー運転業務以外の業務ならできることを会社に伝えています。しかし、会社はトレーラー業務以外の復職は認められないとして、解雇し勤続年数に基く退職金を支払いました。


解雇前、復職が認められないと言われた時点で労働基準監督署に相談に行ったA氏は、労災を申請するように言われていたため、会社のやり方に納得できず、労働局に復職又は、それができないなら金銭の解決を求めてあっせんを申し出ます。


会社はいずれも拒否して和解はならず、その後発症時に遡って労災が認定されたため会社はA氏の銀行口座に特別退職金(普通退職金に2分の1を加算)を一方的に振り込みます。


この会社の就業規則では労災の場合、労災保険で補償される賃金(休業補償6割、労働福祉事業から2割、合わせて8割補償)の足りない部分2割が補填されることになっているため、A氏は未払い賃金について労基署に再度相談に行きますが、「二次補償については労基署の立ち入る問題ではない」と言われてしまいます。


A氏としてはもはや復職までは求めないが、労災が認められた以上2割分の賃金の未払い分を払ってほしいと相談所にやって来たのです。


回答は以下のとおりです。


まずA氏が業務転換を申し出た時点で会社が一方的に拒めるかという問題があります。(それについては後述します)また、私傷病の休職期間満了によって解雇されていますが、その後業務上の疾病と認められたわけですから、原則としては解雇は無効です。しかし、A氏が特別退職金を受け取っていてそれから2年が経過していますので、解雇無効を主張しても認められない可能性もあります。


2割の差額賃金については、少なくとも休職期間中の6ヶ月については会社に支払義務があると思われます。A氏は費用がかかるため裁判までは望まないということなので、労働局での再度のあっせんを勧めました。労働局から「同一事案ではあっせんは受け付けられない」と言われているそうですが、前回は解雇について、今回は未払い賃金についてなので同一事案ではないと判断してくれるかもしれない、労働局がだめなら、簡易裁判所による支払督促、さらには労働審判制度を利用する方法があります。


いずれにしても、会社との交渉などメモも含めて自己の主張をするために証拠というようなものを集めておくことなどを指摘したそうです。


さて、私傷病等で今までの業務ができなくなってしまった社員の処遇はどうするべきかという問題に戻ります。この事例の中で片山組事件という判例(最高裁判決平成10.4.9)に簡単に触れています。


私も興味があったのでちょっと詳しく調べてみました。明日続きを書きたいと思います。


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