FC2ブログ

おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

育休中の「ノーワーク・ノーペイ」について考える

最近育児休業中の給料についての記事を書きましたが(過去記事参照)ノーワーク・ノーペイ」というのは本当に正しいのだろうか?という疑問が湧いてきました。


ノーワーク・ノーペイ」というのは、民法623条を根拠に「労働に従事してその報酬を払うのが雇用契約だから、働かない分の報酬は払わなくてよい」ということです。


確かにそれで法律的に間違いはないし判例等でも「ノーワーク・ノーペイ」という言葉が使われ、今や常識です。他方、民法には「契約自由の原則」があり、公序良俗に反したり違法な内容でなければ当事者間でどのような契約も結べるという原則があります。


また、雇用契約についても民法はおおまかな概略を規定する一般法であり、労働基準法等の労働に関する特別法で修正され、そちらが優先されることになります。

育児介護休業法には休業中の賃金に対する規定がないために民法の雇用契約が適用され、「ノーワーク・ノーペイ」が声高に言われるのでしょう。賃金を払う事業主にすればとても都合がいいですから。


そもそも法律とは何でしょうか。


様々な人の価値観や利害関係などが錯綜しているこの社会に共通のルールということになるでしょうか。どちらかというと「これを守っていれば全てOK」というより、「これだけは最低限守ってくださいよ」という意味合いの方が強いと思います。法律が万能というわけではないのです。


近頃コンプライアンス(法令遵守)ということがよく言われます。法律を守るということを考えた時、ただそこに書いてあるとおりのことをしていますだけでは不十分です。法律の趣旨を理解しそれを踏まえて行動することこそが真のコンプライアンスです。


さて、育児休業に戻りましょう。この法律の趣旨は第1条にあります。後半で「子の養育又は家族の介護を行う労働者等に対する支援措置を講ずること等により、子の養育又は家族の介護を行う労働者等の雇用の継続及び再就職の促進を図り、もってこれらの者の職業生活と家庭生活との両立に寄与することを通じて、これらの者の福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に資することを目的とする」とあります。


子の養育や家族の介護を担うことになった労働者を支援し、働き続けることができるようにする、それにより社会全体の発展に寄与しましょうということが目的だと思います。


そうであるならば、育児や介護に直面した労働者に対して「ノーワーク・ノーペイ」だから休業中は無給ですと言い切ることができるでしょうか。法律的には違法ではなくても、どちらかというと最低基準です。それをクリアーしているからと言って、「コンプライアンスは大丈夫です」と胸を張れるでしょうか。


私は1割でも2割でも給料を出してほしいと思っています。介護は別として育児に関して言えば、今まで負担していた社会保険料がなくなりますし、助成金もあります。


何よりも人材の確保という今後急務になるであろうことに対して対応できますよね。社員が「こんな会社なら長く働き続けたい」と思い、家族や友人に「うちの会社って親切なんだよ」とアナウンスしてくれることでしょう。


事業主の方には育休中の「ノーワーク・ノーペイ」について今一度考えていただきたいと思います。


コメント欄で育休中に少しでも賃金を出すよう事業主をどう説得するかというようなご質問をいただいて、ざっとお答えはしましたがその後考えたことを書いてみました。読者の皆様のお陰で、私もいろいろ考え勉強することができます。ありがとうございます。

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

育児休業に関する補足の記事ありがとうございます。

確かに育児休業は休業したくて休業するのではなく、休業せざるを得ないという性質が強いので何らかの賃金保障はして欲しいとは思います。

また、ほとんどの企業が賃金保障を行っていない今だからこそ賃金保障を導入して対外的アピールをしておけば優秀な人材の確保にも繋がるだろうと思います。


上記のようなことを理解してもらうにはやはり社労士の存在が不可欠だと思います。基本的にこの問題は事業主の意識の問題ですから社労士が上手に事業主の意識改革を進めれば必ず育児休業者にとって良い方向になると思います。

卯年 | URL | 2007年04月26日(Thu)12:25 [EDIT]