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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

認知症高齢者増加のリスクの負担

 昨日の夜から今日の朝にかけてのトップニュースは、認知症高齢者が列車にはねられ死亡したことによるJR東海から遺族に対する損害賠償責任についての最高裁判決でした。
人身事故があると振替輸送などの費用がかかるため、JRが状況に応じて遺族に賠償を請求するという話は聞いたことがありましたが、今回は、死亡した男性が認知症患者であり、家族がほんの少し目を離したすきに家を出て行って起きた事故ですので、家族の監督責任が問われたものでした。
判断は二段階になっていて、まず、同居していた要介護1と認定されていた妻と別居していたが、両親のために自分の妻とともに何かと助けていた長男が監督義務者の立場にあるのか、もしあるとしたら監督義務者としての責任を怠っていたのかどうか、が判断されるのですね。
一審、二審では監督義務者として認め、義務も怠ったとして賠償責任を認めています(二審は妻の責任のみ認めた)。
その判断は、認知症の人を介護している家族に過酷であり、大きな不安を与えたものとして批判がでていました。

 特に徘徊するような人は身体は元気なので、ちょっと目を離したすきに家を出るということがあるため、いくら家族でもべったり1日中張り付いているわけにはいかないし、そんなことを要求されたら自宅介護などできないという批判です。
先週、判決を前にしてラジオでその方面に詳しいいわゆる有識者という立場の方だと思いますが、いろいろとこの事件の背景について話しているのを偶然車で帰宅途中に聞きました。
亡くなった認知症の当時90代の方は徘徊はあっても、日頃は問題行動も少なく、デイサービスを利用するなどして穏やかに暮らしていたそうです。
離れて暮らしている長男夫婦も何かと両親の世話をしにやってきていて、玄関にセンサーを取り付けるなどして家族で助けあって認知症のお父さんを守っていたようです。
事件当日は、夕方デイサービスから戻ったお父さんを迎えた後、自らも要介護1の80代の妻がほんの5、6分居眠りをしている間にお父さんが家を出て行ってしまい、いつもは閉まっているはずのJRの柵が開いていたために線路内に侵入して亡くなったのでした。
見方によっては、被害者でもあるわけです。
息子さんは、損害賠償を免れるというより、認知症患者の家族の状況を理解してほしいし、父親も普段は穏やかに暮らしていて、けして問題のある認知症患者ではないということで名誉回復もしたいとも語っていたそうです。

判決では、妻、長男ともに監督義務者とはあたらないので賠償義務なしとして、妥当だと思いました。状況に応じて総合的に判断するということで、今回のJRのように認知症の人によって損害被害を受けた側にも配慮したのだと思います。
この事案では、ご本人が亡くなってしまいましたが、認知症なのに運転して人を死傷させるという事例などもぽつぽつ出ていますので、そうなると、被害者の救済はどうなるのだろうという心配もあります。
やはり、そのようなリスクを広く浅く社会で負担するシステムが必要になるのかなと思いました。
私も若いころには全く関心を持たなかった「認知症」という言葉にピキーンと反応するようになり、寄る年波だねーと思うのでした。

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