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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

就業規則がないと懲戒処分はできない?

 所属する社労士会の研究会である会員が書いた原稿の中で、事業主があることで従業員の一人に注意したところ、「就業規則がないから懲戒処分はできないだろう」と言い返されて、困っているというようなシチュエーションがありました。
原稿中では、その事業所は労働者が10人未満で就業規則作成届出の義務がないため、就業規則がないという設定になっています。
当ブログで何度か書いていますが、そもそも対等な契約関係である労使関係の中で何故使用者側が「上から目線」で懲戒処分ができるのか。
ものの本によれば結構、昔からいろいろな説があるんですが、主なものは二つです。
企業秩序を維持するために使用者側にある固有の権利であるとする①固有権説と、懲戒処分は労働者が契約の中で具体的に同意を与えている部分で可能であるとする②契約説です。(菅野和夫労働法第十版P489)

 ①の説をとれば、労働契約に付随する権利として当然に使用者に与えられるものですから、就業規則に書いてなくても使用者の裁量で処分は可能です。もちろん、権利の濫用はできないという縛りは出てくるだろうと思いますが。
②説をとれば、就業規則に具体的に列挙してある内容で処分が可能となり、極めて限定的になります。
かくして、就業規則を作成するときに何が懲戒処分理由になるか、20以上ぐらい事細かに理由を連ねて書くことになります。
前述の「菅野労働法」では、判例の立場は①をとりつつ「規則に従い」懲戒処分をなしうるとして、労働契約をしたからには、労働者は企業秩序遵守義務を負い、使用者は秩序違反に対して制裁罰をくだす権利はあるが、規則に「明定」して初めて行使できるとしているとあります。
「明定」とは明確に定めるということだと思いますので、結局は、規則にしっかりと書かないとだめですよということになるのでしょう。

では、就業規則作成義務がなく作ってもいない事業所では、懲戒処分ができないのでしょうか。
例会では、「横領とかで懲戒解雇はあるよね」などという話もありました。
解雇の場合は、「客観的合理的で社会通念上相当な理由」という労働契約法にある解雇法理がありますから、そこでカバーできます。しかし、「懲戒解雇」となると労働契約法第15条で、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において」という書き出しがあり、理由等が就業規則などにより明示されていることが前提になっているのだろうと思います。
就業規則がない場合は、個別の労働契約書に事細かに書いてある場合に、その範囲で懲戒処分ができるということになるのだと思いますが、それはかなり面倒です。
小さな事業所でも就業規則は作った方がよいというのが私の結論です。

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