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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

社労士の不当労働行為

当ブログで度々書いていますが、 1人の労働者は弱い立場ですが、団結して労働組合になると「労働組合法」でしっかりと守られ経営者に対抗できます。
同法では組合活動をした労働者に対する解雇その他不利益な取扱いを禁止し、正当な理由なく使用者が団体交渉を拒むことはできないし、労働者が労働組合を結成し活動することについて支配したり介入したりすることも禁止しています。
これらは、総称して「不当労働行為」と呼びます。不当労働行為について労働者側は各都道府県労働委員会に申し立てをすることができ、必要があれば労働委員会が審査をします。
その審査決定について不服があるときは、中央労働委員会にさらに再審査を申し立てることができます。
先週、中央労働委員会がプレスリリースした事案で、会社の顧問社労士が労働者にした言動が会社の行為というべきもので、労働組合法第7条第3号の不当労働行為にあたるとしたものがありました。

 発表によると、会社のルールに従わないとして有期契約の更新をされなかった労働者がそれが不利益取扱いにあたるということと、併せて会社の顧問社労士が組合からの脱退工作や組合不信をあおる言動を行ったこと、契約更新に関する団体交渉を誠実に行わなかったことが不当労働行為にあたると申し立てたものです。
この労働組合は、会社内の労働者が作ったものではなく、地域の合同労組いわゆるユニオンと言われるもので、労働者が個別に加入することができます。
発表だけでは細かいことまでわかりませんが、契約更新をされず雇止めされたことは組合活動が原因だとはいえないとして、雇止めの相当性は認めています。
この労働者が業務用のレターケースにビラを入れたことについて始末書の提出を求められ、それに従わなかったことが社労士との面談、さらには団体交渉へとつながっていくようですが、その前から会社のルールに従わず、再三注意や指導を受けていたことから、雇止めそのものは不当労働行為ではないと判断したようです。

では、顧問社労士は面談でどのようなことを言ったのでしょうか。発表では、二人だけで1時間ほど行われたようです。
会社とうまくいっていないようだが、会社を辞めたいのなら転職先を紹介することもできる、組合に入っているのは本当か、組合は法律的なことしか扱わないので相談ができないのではないかと発言したそうです。これが組合加入を問題視するとともに組合の役割や機能を軽視し、本人の組合活動を抑制しようとしたと判断されています。
前述したように使用者が組合活動について支配したり介入したりすることはできません。
労働組合法では「使用者は・・・」として使用者に対して不当労働行為を禁じていますが、労働委員会は、顧問社労士について、会社からこの労働者との始末書不提出というトラブルについて処理を依頼され、その結果の言動であるので、社労士の行為は会社の行為というべきと判断しています。

最近、社労士の世界でも「リーガルマインド」ということがよく言われます。私の考えている「リーガルマインド」は法的根拠に基づく思考であり、行動です。
法律は条文に書いてあることだけではなく、その立法趣旨や社会的背景等も理解しなくては本当に理解したことにはならないと考えています。
この社労士の行動はまず労働組合法を理解しているとは思えません。また、社会保険労務士法第1条にある社労士制度の目的「事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上」について理解していたら、経営者と一体化するようなことにはならないはずです。

顧問料をもらっているのだから経営者側のことを考えるまではわかりますが、経営者の手足のようになってしまっては、社労士としての役割は果たせません。経営者と労働者双方に目配りするのが法律が求めている社労士の役割です。
社労士は100%経営者のために働きなさいなんて社会保険労務士法のどこにも書いてません。社労士が経営者のためにだけ仕事をするなんてことは、法的根拠がないのです。
そんなことを感じた事案でした。

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