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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

未払い残業代が3億円?

昨日の朝日新聞の報道によると、 岡山県の人口10万人の地方都市の農協で未払い残業代の訴訟が起きたそうです。
ここまでは、よく聞く話がまたなのかと思いますが、農協の職員200人余りが訴えていて総額3億円だそうです。未払い残業代については、労働者の請求によりさらなる付加金の支払いを裁判所が命じることができます。未払い分と同一額の請求ができますので総額6億円になるとのことで、額の多さと原告人数の多さに驚きます。
なお、付加金については、裁判所の判断により認められない場合もありますし、減額して支払いを命じる場合もあり、事案ごとに悪質度などにより判断されます。
何故、そんなことになったのだろうかと記事を読みますと、労働組合もあるようで、4、5年前から農繁期に残業が100時間を超えたり休みをとれない状況があり、団体交渉をしてきたそうです。
しかし、改善がされず法的手段に訴えたとありました。

2014年11月には 労働基準監督署から残業代を支払うよう是正勧告が出され、一部支払ったものの、2015年3月に一部の職員を一方的に「管理監督者」に変更したそうです。
労働基準法では、労働時間の管理をするのになじまない管理職については労働時間の管理の枠外にしてよいとしていますが、①経営者と一体的な立場で自ら主体的に動く必要があり、そもそも労働時間を管理すると職責を果たせないような人であること ②責任と権限が一般的な労働者より大きい ③待遇が一般的な労働者より非常によい などの条件を充たさないと認められないというのが、判例による考え方です。
裁判の傾向としては、「管理監督者」の条件は非常に厳格に判断されています。
アルバイトの採用権限をもっていたようなチェーン店の店長でも、本部の指示により動かないといけない部分が多いとして管理監督者性を否定されています。
農協側は未払い残業代はないとして争う姿勢らしいのですが、管理監督者の範囲、タイムカードの記録と勤務実態、残業命令があったかなどが争点となると記事には記載されていました。

労組があり団体交渉もしていて、労働基準監督署の勧告も受けているのに、勤務実態が改善されないという労働者側の言い分が正しいとしたら、何故そうなっちゃったのかなと不思議です。
農協の代表者というのは組合だから理事長ということになるのでしょうか。農業には詳しくても労働法は理解していなかったということなのでしょうか。
この農協には社労士は関与していなかったのだろうか。少なくとも是正勧告が出た時は社労士に相談するのではないか?顧問弁護士などがいてそちらにいったのだろうか。
未払い残業代は時効の関係で2年間分遡って請求することができますし、前述のように裁判になれば付加金も請求できるので、労働者の人数が多いとかなりの高額になります。
それでなくても裁判になると資料の準備など時間とエネルギーの消耗は大変なものです。
未払い残業代に限らず、「私は絶対関与先を裁判には行かせないと思ってやってます。」とある社労士に言ったら、「裁判になるといろいろやることができてお金も請求できると考える社労士もいるんですよ」と言われました。
面倒事を引き受けてビジネスにするというわけですね。「うーん・・・。」としか私には言えませんでした。

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