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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

定年後の再雇用の賃金

先月、東京高裁で定年後の再雇用について賃金を引き下げたことは、違法ではないとする判決があったと報道されました。
書こうとしていて書きそびれていたので、今日、ちょっと書いてみたいと思います。
この裁判は、今年の5月に東京地裁で労働者側が勝訴していましたが(
過去記事参照)、経営者側の控訴を受けて高裁が地裁判決を取り消す形で経営者側が逆転勝訴したものです。
労働者側は上告しましたので、判断は最高裁まで持ち越され、今後注目すべき裁判になると思います。
訴えていた労働者はトラックの運転手さんで、定年後再雇用で期間を定めて働く嘱託となりましたが、仕事は全く同じなのに、賃金が2~3割減額になったのは、労働契約法20条違反だとしています。
このあたりは過去記事に書きました。
労働契約法は平成20年3月施行の新しい法律ですが、その後改正されて期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止しています。
司法の場で初めてこの条文を根拠として訴えが提起されたのがこの裁判です。

 条文では、業務の内容、責任の程度、配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、期間の定めがあることだけで、期間の定めのない人すなわち正社員を想定していると思いますが、不合理な労働条件の差をつけてはいけないとしています。
東京地裁では、正社員と業務内容や責任の程度などが同じと判断したものと思います。
減額された賃金を支払うよう判決がでていますが、高裁では、「定年後に賃金が下がることは社会的に認められている」としたと報道されていました。
判決文を読んでみないと何とも言えないのですが、職務内容よりも社会的慣習のようなものを重んじたのかなと思います。
しかし、定年後再雇用の多くの場合、責任の度合いも軽くなり業務内容も軽くした上で賃金を減額するのが普通です。この裁判例のようにトラックドライバーのように、見かけもやっていることも定年前と同じとなったような場合に、何が合理的なのかが問題になるのだと思います。

「不合理」という言葉は結構曖昧です。職務内容を相当細かくあぶり出し、違いを鮮明にしておかないと説明ができないですし、賃金の減額幅も考えなくては、あまりにも大きく下げるとこれもまた「不合理」の範囲に入ってくるのではないかと考えられます。
折しも、政府では「同一労働・同一賃金」ということを喧伝し始めました。
同じ労働には同じ賃金というのはいいと思いますが、これもつきつめて考えると個人によってちょっとずつ労働の質は違うのではないかとも思えてきます。
賃金を決めるのは難しいことなんだなとあらためて思っています。
今後出てくるであろう労働契約法20条に関する最高裁判断に注目したいと思います。

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