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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

賃金債権の時効が変わる?

 気がつけば1週間ぶりの更新です。当地は毎日35度前後の猛暑日が続いていますが、先週から今週にかけてある関与先である出来事があり、私もバタバタとしていました。
それでも、何とか、落ち着くところに落ち着きそうで、まだ完全に「大団円」となるかは予断を許さないのですが、やれることはやったと思うので、「これでいいのだ!」と思うしかありません。
さて、そんな中、配信してもらっている労働法関連の政府系研究機関のメルマガで、民法の消滅時効についての改正が公布となり、労働基準法にある賃金債権の消滅時効の検討について、労働政策審議会の労働条件分科会が資料を公表したとありました。
それは、いわゆる「資料」で、今後どうなるというようなことは何もありませんでした。

 現行の民法の消滅時効の規定は、債権について10年間としているのですが、それを「知ったときから5年間」(行使できる時から10年間)とするそうで、債権は多くの場合最初からそれがあることは認識していますから、現行10年の半分の5年になると考えてよいでしょう。
平成29年6月2日の公布で、施行は公布日起算で3年以内の政令で定める日となっています。
現行規定では、例外として職業別に短期消滅時効が設けられています。
医師、薬剤師、助産師などの診療等に関する債権は3年、弁護士は2年、旅館、料理店などは1年となっていますが、これらはすべて削除され、5年に統一されるようです。
1年の中には「自己の労力の提供」の報酬も含まれていますので、現行の民法上労働者の賃金債権は1年間請求しなければ消滅するのですが、特別法の労働基準法115条で賃金の請求権は2年間(退職手当は5年間)となっているため、私も賃金の時効は2年と頭に入っています。
従って、未払い残業代などがある場合には、2年間分遡って請求するのが当たり前ですし、裁判になると未払い分と同額の付加金も請求するのが普通です。
付加金とは、裁判所が命じることができるいわばペナルティーのようなもので、未払い分と同額とされていますが、個別の状況により裁判所が支払いを命じない場合もありますし、半額等に減額する場合もあります。

ですから、労働基準監督署の調査などにより、未払い残業代が発覚した場合などは付加金はありません。また、これは監督官だった方から聞いた話ですが、よほど悪質な場合を除き、その事業所の支払い能力などに応じて2年間までは遡らない場合も多いそうです。
私は、過去に依頼を受けて労働基準監督署の是正勧告について、是正報告書を作成して監督官にお渡ししてお話ししたことはありますが、それは全く別の法令違反だったので、未払い残業代については幸い業務として遭遇したことはありません。

さて、そうなると、賃金債権は何年になるのでしょうか。この流れだと5年に統一されるのでしょうか。一般債権の10年が半分の5年に短縮されて、職業別の時効が撤廃されたので、2年の半分の1年になるのでしょうか。短期消滅時効が廃止になったことを考えると5年に統一というのが自然かなとも思いますが、そうなると、未払い残業代など、今でさえ2年間遡ると結構な額になりますから、5年も遡ったら大変だろうなと思います。
そうなると、賃金台帳の保存期間(現在3年間 労基法109条)も変わるんだろうか。
民法改正は、あらゆるところに影響を及ぼしてくるものだと思います。今後の動向に注目しましょう。

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