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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働者か否かのグレーゾーン

 大手楽器販売会社で英語講師として働いている女性たちが、労働組合を結成して自分たちの「労働者性」について会社と交渉したいとしているという報道がありました。
当該女性講師Aさんは会社と「個人事業主」として契約しているらしく、多分、請負契約、または委任契約をしているのではないかと推察されます。
Aさんは英語に関係する仕事がしたいと、この会社の運営する英語教室の講師となって20年、報酬は生徒数に応じた歩合制で安定せず、月20万円に満たないそうです。会社から交付さる源泉徴収票には「給与所得」とあるのに、年金や健康保険がないのを疑問に思い、労働局に相談に行ったところ、「あなた方は労働者じゃないから」と言われ、初めて自分の置かれている状況を知り、将来に不安を覚え、仲間と税務署や労働組合をたずねて勉強した後、労働組合を結成したと記事にありました。

 20年もたってから何故?との疑問もありますが、この種の法のグレーゾーン的な話は、以前からあり裁判例などもいろいろあります。当ブログでも何度か書いていますが、比較的新しい記事だと以下のようなホストクラブのホストの労働者性を認めた例を記載して、そこで労働者性について説明しています。(参照
契約上「請負契約」、「委任契約」となっていてもそこに支配関係があり「使用従属性」が明確であれば、実態としては「労働契約(雇用契約)」となるという考え方をします。
報道されたAさんの細かい状況がはっきりしませんが、最近、フリーランスで働く人も増えているようですから、契約する前に自分の働く状況をきちんと確認しておく必要があるでしょう。

「労働者ではない」ということは、場所、時間、仕事のやり方などについて支配されない代わりに労働法等にある労働者に対する保護を受けられないということになります。
業務上のけがや病気の補償である労災保険も適用対象外、雇用保険もないので失業したときの補償もない、健康保険ではなく国民健康保険となるので私的な病気などで休業したときの補償がない、厚生年金もないので将来の年金額は一般的なサラリーマンより低い、これらについては、足りない部分については自分で手当しないといけないということになります。
会社に縛られたくない働き方をするのは個人の選択ですが、時として、本来労働者であるべき実態なのに、会社の負担を減らすために利用されてしまうような場合もあります。
労働者性の判断基準としては、①仕事の依頼への諾否の自由 ②業務遂行上の指揮監督 ③時間的、場所的拘束性 ④代替性 ⑤報酬の算定・支払い方法 などにより、補足的に機械・器具の負担、報酬の額等に現れた事業者性、専属性などを要素として判断します(菅野『労働法第十版』115頁)。

副業、兼業を容認する動きが広がったり、働き方の多様性が見られるようになりましたが、労働者であるのかないのかは、実は、法的保護を受けられるか、対象外となるかの大きな問題があります。働き方を考える上で注意していただきたいことだと思います。

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