
それらについて、「対応済、対応の目途がついている」と回答した企業の割合は6割に満たず、特に「同一労働同一賃金」については36%だったそうです。
多分、社労士が関与している事業所はいろいろ説明を受けて、就業規則の改正、賃金制度の見直し、労働時間の削減など、できることはどんどん着手していることと思います。
以前、先輩社労士から聞いた話によると、日本全国あまたある中小企業で社労士と契約しているのは3割ぐらいだそうですから、そうでない事業所は、行政のHP等で調べたり労働局に確認したりして対策しているのでしょうか。
冒頭に書いた調査結果で一番浸透しているのは、②の年次有給休暇の取得義務化で、7割余りの事業所が知っていることになります。
有給休暇は、働かなくても賃金が発生するということで労使ともに関心の高い事項だというのは、業務上常々感じていましたが、やはりそうなんですね。
開業して間もないころ、ある小規模な事業所から依頼を受けて就業規則の見直しをしたことがありましたが、事業主夫妻が、有給休暇について、かなり不満気だったことが印象に残っています。それよりも、もっとびっくりしたのは、以前、ある社労士に依頼して作ってもらったという就業規則を見せてもらうと、かなり分厚いファイルでしたが、どっかの大企業かと思うような就業規則で、しかも、事業主夫妻は読んでもよくわからないので、結局、見ないし、役に立たずしまいこんでいたことです。
「法律条文みたいな就業規則はいりません。そんな文章見たくもありません。」というご夫妻のために、できる限りわかりやすい文言で小規模な事業所にふさわしい最低限法律をカバーした就業規則を作成したことが懐かしく思い出されます。
小規模になるほどそういう事業所が多いわけで、なかなか法律を理解するところまではいかないのではないでしょうか。
そして、「働き方改革」にはやはりお金がかかります。労働時間を減らすためには、人を増やす、事務効率化のためにIT化する、同一労働同一賃金のためにはパートの手当、賃金を見直すなどいろいろしなければならないことがあります。
それができる、財力(人材も含む)、知識、情報、実行力のある会社はいいですが、できない会社はどうなるんだろう、そこで働く労働者は、益々大企業と差がついてしまうのか、考えてしまう今日このごろです。


