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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「グリーンブック」を観る。知性と勇気

 昨日、以前から観たいと思っていた映画「グリーンブック」を観る機会に恵まれました。評判どおりの良い映画で最後は泣きました。悲しくて泣くのではなく感動の涙が自然に出てきました。
時は1962年、アメリカニューヨークでナイトクラブの用心棒のような仕事をしていたトニーは、腕っぷしが強く、人をはぐらかすような話術にもたけた陽気なイタリア系アメリカ人。客同士のトラブルなどを見つけるとあっという間に腕力にものを言わせ、いわば暴力的に解決してしまう教養などとは無縁の男。それでも、心根は優しいので妻や子ども、その他の親族、友人にも愛されていて裕福ではないけれど幸せに暮らしています。
クラブが改装工事をするため2か月の休業をすることになり、カーネギーホールの上階に住んでいるセレブな天才的ピアニスト、ドン・シャーリーの演奏旅行に随行する運転手兼用心棒として雇われることになります。問題は幼少のころからピアノの才能を認められ、ドクターとも呼ばれるぐらいに知性と教養あふれるシャーリーが黒人であったことと、演奏旅行先が黒人差別の激しい南部だったことです。
宿泊施設や飲食店、トイレまでが「黒人お断り」が堂々とまかり通っていた時代の南部を旅するために、黒人OKの施設についてのガイドブックが「グリーンブック」と呼ばれていて、トニーはそれをもって出発するのでした。

最初は、ギクシャクしていた二人の関係も 、旅先での様々な出来事を何とか乗り越えていくうちに心が通じ合っていくというロードムービーの要素も入れ、声高ではなくじわじわと差別を告発していくちょっぴり社会的な側面ももちながら、人間対人間は、肌の色、育った環境、その人の持つ個性など関係なく、わかり合い、友愛をはぐくむことができるという大団円に向かっていくヒューマンドラマといっても実話だということですが、上質の映画に仕上がっています。
この映画のプロデューサーであり、脚本にもかかわっている人が実はトニーの息子さんで、旅を終えた後、生涯の友となった二人から繰り返し話を聞き、記録にも残し必ず映画にしたいと思っていたそうです。
シャーリーに自分が死ぬまでは映画化しないでほしいと言われ、それを守り、2013年に相次いで二人が亡くなったことから映画化が実現したそうです。

私が感じたのは、トニーの持つ暴力性とシャーリーの知性と教養の対比です。暴力は短期的にトラブルを解決することができますが、最終的には知性と教養が暴力的なトニーの心も動かしていく。暴力では何も変えることはできないと信じているシャーリーも、トニーの暴力性により救われる場面があります。トニーのおしゃべりをうるさいと感じていたシャーリーですが、彼の心のしんにある優しさに触れることにより、自分の心情を思い切り吐露してしまう場面もあります。二人が魂の部分で共鳴し合ったのかなと思わせられます。
そして、東部にいれば天才的ピアニストとしてそれなりの処遇を得て気分よく過ごせるのに、あえて差別されることがわかっていながら、南部に演奏旅行に行ったのは、彼の知性、そして勇気なのだということが映画の中でも語られていくのです。
私には、世の中を長期的に変えるのは人の知性と教養、そして勇気ある行動なのだということをあらためて教てくれた映画でした。

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