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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる15年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「固定給が低過ぎる」 労組の訴え

 報道によると、テレビCMなどで名前が知られている引っ越し業者の労働組合が記者会見を開き、基本給が毎月6万円(運転しない助手は5万円)で残りは出来高払い制の賃金制度となっていて、労働者にとっては酷な状況だということを会社側と交渉中であることを明らかにしたようです。
最近、『運送業の未払い残業代問題はオール歩合給で解決しなさい』(向井蘭、西川幸孝共著 日本法令)という書籍を読んだばかりだったので、このニュースを興味深く読みました。
この本では、給料のすべてを歩合給にすれば(それはけして違法ではない)残業代が少なく済むし、働きに見合った賃金制度とできることや今後問題となりそうな同一労働同一賃金に関して、均等・均衡待遇にも対応できる方策として推奨しています。

もちろん、労働者によく説明して同意のもとに契約することや、運送業の場合、配送先のルートや状況による不公平も出てくるし、配車係の「権力濫用」問題などもでてくるので、それらを調整できる仕組みづくりをすること、相談窓口などにより社員とのコミュニケーションを密にして、意見をよく聞くなどの留意事項も書かれています。

 さて、冒頭の労組の話ですが、労働契約を結ぶときには賃金制度について説明があり納得して契約していると思いますが、やはり、こんなはずではなかったという感じなのでしょうか。
気になったのは、有給休暇を取得すると1日5000円から6000円になってしまうという話です。
有給休暇というのは、労働者の健康で文化的な生活に寄与するため労働から解放して、働かなくても賃金を支払い安心して休んでもらう制度です。
休暇中の賃金設定については労働基準法で決まっていて(39条9項)、①平均賃金 ➁所定労働時間働いた場合の通常の賃金 ③健康保険料の算定に使う標準報酬月額の30分の1(労使協定が必要)のどれかとなっています。
月給制の場合などはその日出勤したとみなして賃金計算をする、すなわち通常の賃金を支払うのが一般的ですが、この会社は多分➁の平均賃金を選択しているのでしょう(使用者の裁量で決めらる)。

平均賃金は算定事由の発生した日以前3か月間の賃金総額をその期間の総日数で除したものです。
出来高払いの場合はそれらの100分の60となります。
固定給と出来高払いの場合、それぞれの平均賃金を計算して合計します。
まず、6万円×3か月分18万円を3か月の暦日数で除しますが、90日とすると2000円。出来高払い部分が3000円から4000円ぐらいということなのでしょうか。
3000円として逆算すると、3か月の総賃金(出来高払い分)は45万円、1月15万円です。
固定給と合わせて20万円の月額賃金となります。
月の労働日数が20日~22日ぐらいでしょうか。通常の賃金だと1日1万円前後にはなりますから、組合としてはせめて有給休暇中の賃金を通常の賃金としてもらうよう交渉の余地はありそうです。

しかし、ここまで書いてきて、引っ越し業者さんの賃金は労働の質に果たして見合っているのだろうかと疑問がわいてきます。
私も何度か引っ越しをした経験がありますし、知り合いや家族の引っ越しの手伝いをしたこともあります。
引っ越し業者さんは皆さん本当に働き者って感じでした。重いもの、壊れ物など注意すべきものなど、いやな顔ひとつせずどんどんさばいていく、細身の人が多かったと思うのですが、皆さんすごく力持ちです。
暑いとき、寒いとき、様々な環境の中で大きなトラックを運転して事故のないように気を使い、確実に荷物を運びこむ、大変な仕事です。
この会社の細かい給料体系はよくわかりませんが、少しでも待遇が改善されるように労組の皆さんには頑張ってほしいですし、会社としては誠実に交渉に応じて、給料を上げられないのなら、理由をしっかり説明して、休暇を増やすとか他の労働条件の改善に努めていただきたいなと思います。

この国の労働者の賃金が30年間ほとんど上がらないということが話題となっていますが、介護職や保育士さんの給料が通常の労働者より低い水準であるとか、概してエッセンシャルワーカーと言われる人たちの給料が安い。労働の質に対する賃金への配慮というものが足りない点も気になります。
そんなことを考えたニュースでした。







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| | 2022年08月14日(Sun)12:35 [EDIT]