
通常の月給制などの場合の時間外労働(1週40時間、1日8時間を超える労働)については、労働契約で決められた所定の労働時間と所定の給料額(基本給+手当)をもとにその人の時給を計算します。手当については、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、臨時に支払う手当(慶弔費など)、賞与などは除きます。住宅手当については一律に支給するようなものは除外できません。
それで、その人の時給を計算して、時間外労働がある場合には、その時間に1.25をかけて計算します(60時間を超える分は1.5、中小企業は2023年4月1日より適用)。
給料の全額または一部に歩合給(出来高払いの賃金)がある場合は、その部分を別途計算しますが、歩合給の部分に1の部分はすでに歩合給の中に支払われていると考え、その月の歩合給を総労働時間で除して、歩合給部分の時給額を計算し、総労働時間の中の法定時間外労働の時間数に時給額の0.25をかけて算出します(昭和23.11.25基収3052号)。
その歩合給を稼ぐためにはその時間も必要である、時間をかければ歩合給は増えると考え、支払った歩合給の中にすでに100%部分は含まれていると考えます。
このあたりの考え方については、東京労働局のホームページにわかりやすく記載されていますので、興味のある方はご参照ください(参照)
近年、従来型の働いた時間に対して賃金を支払うという賃金形態に疑問がもたれ、出来高払いとか、成果給に賃金制度を変えるとする考え方が言われるようになりました。
従来型だと、ちゃっちゃか仕事を片付けて定時に終える人よりも、だらだらのんびり仕事をしていて残業になってしまった人の方が残業代の分だけ給料がよくなるということがあるからでしょう。
だらだらのんびりした働き方は、会社としてはゆゆしき問題ですから、労務管理で何とかしたいところです。
しかし、一生けんめい仕事をしているのに終わらないとしたら、仕事がその人の能力に見合っていないとか、適切に配分されていないということが考えられます。
チームで仕事をしている場合にはチーム内の仕事の割り振りについて、適材適所で適切に配分されているのか考えてみる必要があるでしょう。
余力のある人はない人を助けているかという点も気になります。
会社というのはあくまでも人の集合体であり、個人の能力を競う場ではないのではないかと私は考えています。
営業とか保険の外交員とか、かなり個人の力量に頼る仕事はまた別だとは思いますが。
「自己責任論」が喧伝されてから、不遇の状態に置かれても何となく「自分が能力がないからだ」とか「自分のせいだから仕方ない」とあきらめてしまう人が増えたのでしょうか。
労働組合の組織率が約17%ぐらいと言われていることも気になります。
「みんなで良くなろう」というのが労働組合の原点です。
硬直したイデオロギーを振り回したために普通の人が離れてしまった労働組合ですが、労働組合法では、労働者が主体となり自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的とする団体が労働組合であると定義しています。
「主として政治運動又は社会運動を目的とするもの」は労働組合ではないとしています。
そこからいくと、連合が政治的発言力をもっているのはちょっと違うのではないかとも思えてきますが、経団連などに対抗するためには仕方がないのかなとか、セミの声を聞きながら考えました。
残業代の話から脱線してしまいましたが、お盆休みの方も多いことでしょう。
良い夏休みをお過ごしください。


