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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる15年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

経営者は法令遵守の意識を

 さて、昨日の記事の続きとしてちょっと書いておきたいと思います。
昨日のように会社から退職を迫られたり、理不尽な処遇を受けたときに労働者はどうしたらよいか。
当該ニュースの中で「日本労働弁護団」の常任幹事をなさっている弁護士さんの話が掲載されていました。
それによると、①証拠を集める ②休むこと ③社外の専門家に相談すること いずれも退職前に行うことだそうです。
退職してしまうと、会社で使っているメールやチャットなどのアカウントが削除されたりして、残業などの証拠が消えてしまう可能性があり、証拠を集めにくくなる、退職していなければ健康保険が使えて通院等がしやすい、失職してしまうと生活の心配や再就職先を探すことなどに注力しなければならなくなるためとのことです。
③の社外の専門家に相談というのは、経験からきちんと対応する会社が少ないと感じるからだそうです。相談窓口などがある会社は多いと思いますが、会社だけが相談先ではないと思ってほしいとのことで、なるほどと思いました。

 昨日の例でいうと、「裁量労働制だから」と言われてすぐに理解できる労働者はあまり多くはないと思いますし、使用者側も完全に理解しているかはわかりません。
理解していたら、労働者にきちんと説明して納得してもらうことができるはずですが、それをしないということは、理解しているかどうか疑いがでてきます。
もし、労使協定が不備であるなど自分たちの違法性を理解しているのにやってるとしたら、まさにブラック企業になっちゃいますね。
ブラックとまではいかなくても、裁量労働制はかねてより労働時間をみなしで決めてしまうため、使用者が残業代削減のために利用しているのではないかという疑いがもたれやすい制度です。
そのため、職種が厳格に限定され、労使協定をして労基署に届出をする義務、労働者の健康や福祉に関する措置(苦情処理や相談など)など法定の事項をクリアーしないとできません。
それなりのハードルが設けられているため、令和3年の厚生労働省の調査(令和3年就労条件総合調査)では専門業務型裁量労働制の導入率は全体で1.2%、1000人以上の企業でも1.8%と非常に少ないです。
運用には法違反のないように十分な注意が必要です。

また、労基署に対する申告については、前述の弁護士さんによると申告内容がたとえ違法性がなかったとしても労働者が責任を問われることはなく、「申告は労働者の権利である」としています。
会社が残業代を支払わないなどおかしなことがあったら、まずは自分で労働時間などについて証拠を集めて、管轄の労働基準監督署に相談することはなんら問題のない行為であるということなのです。

昨日の例では、会社の労働者に対する不利益取扱いが違法とされました。
労働基準法に明確に規定されていますから、当然なのですが、会社も無知だったのだろうかと思います。
労基署に申告したから信頼関係が築けないという言い方も、申告されるような原因を作ったのは会社なのですし、自分たちにミスがないか調べるぐらいはしていただきたいところです。
その上で、違法性がないのならその旨冷静に説明すればよいのです。
労働法はたくさんの法令があり、一朝一夕で理解するのは難しいですから、経営者の方は、労働法を自分で勉強するより信頼できる専門家に相談できる体制を普段から整備しておくとよいでしょう。
当該会社も社労士と契約していれば裁量労働制について法的にきちんと整備した上での運用ができたのではないかと思います。
内容証明や労基署への申告で感情的になってしまったのかもしれませんが、社労士などにすぐ相談できる状態だったら、少なくとも感情的になったらだめですよというアドバイスはもらえたのではないかと思います。
トラブルは冷静に淡々と法令を根拠に対話していくという姿勢が大事です。感情的になってはだめですが、法律論だけではなかなか解決できないケースがあることも事実です。相手の「感情」を甘く見てはいけません。「感情」は良くも悪くも強いエネルギーを生み出す力となり得ます。

法令遵守意識の高い会社であったら、そもそもこのようなトラブルはないとも思われますが、裁量労働制については導入の手続きや労使協定の有効期限などについて遺漏のないようにしないと無効になるという事例でもあると思いました。
「裁量労働制」の名のもとに不当な長時間労働となっていないか、裁量労働制を使っている会社は常に気をつけないといけないと思います。


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