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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

派遣労働者を守る条文(2)

一昨日記事にした派遣法33条に関連して、補足的にもう少し書いておきたいと思います。
派遣先が派遣社員を受けい入れるためには、まず人材派遣会社と派遣契約を結ばなければなりません。
記載すべき事項は法律で決まっています。
厚生労働省でひな形も出していますが、この中に、「派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置」という項目があります。
先日の記事中で、派遣労働者が派遣元との契約終了後に派遣先と雇用契約を結ぶことについて、派遣元はそれを禁じることができないという派遣法第33条の条文を記載しました。
でも、それにより紛争になる場合を考慮する措置なのでしょうか。
例として、「派遣先が派遣元に通知することとする」とあります。
まあ、それはいいとして、「派遣元が有料の職業紹介の許可を受けている場合は、職業紹介を経由して行うこととし、紹介手数料については、別途協議するものとする」とあります。
しかし、詳細についての解説をみると、派遣先が派遣元に紹介手数料を支払うのは、派遣元が職業紹介の許可を受けており、派遣先がその職業紹介により当該労働者を雇用する場合に限られます。」と記載されていて、むやみと紹介手数料をとるというような契約書は作れないと考えられます。

 この件について、私にはいまいち理解がたりなかったため、埼玉労働局の担当官に教えていただきました。
したところ、紹介手数料を設定できるのは、まず、派遣元が職業紹介事業者の許可を受けていること、また、紹介予定派遣の場合のみであるということでした。
紹介予定派遣とは、派遣先が派遣労働者の働きぶりを見て良いと思った場合、直接雇用の契約を結ぶことを前提として派遣労働者を受け入れることをいいます(期間は6か月が上限)。
もちろん、必ず雇用しなければならないわけではなく、その労働者を雇用してもいいと思った場合に契約するということです。ただし、雇用しないとする場合には理由を明示する必要があります。
紹介予定派遣の場合は、最初の時点で、派遣元と派遣先は紹介予定派遣であることを明確にして、派遣労働者にもその旨通知して同意の上で行わなければなりません。

そのような契約になっていないのに、紹介手数料を要求することは、再三でてきますが、派遣法33条に抵触する可能性があります。
何故なら、派遣先がせっかく派遣労働者を直接雇用しようとしているのに、高い紹介手数料を要求された場合に、雇用を躊躇してしまうかもしれず、間接的に派遣元が派遣労働者の就職を妨げるような結果になってしまうからです(
厚生労働省の派遣労働者のためのサイトQ4のQA参照)。

派遣先にあまり知識がない場合に、知らずにこのような派遣契約を結び、紹介予定派遣でないのに紹介手数料を要求されて、支払うのもどうかと思い、派遣契約終了後に良いと思っていた派遣社員を雇うのをあきらめたなどという事例があるのでしょうか。
厚生労働省のサイトに掲載されているということは、そんな話があるのかもしれません。
ネットで検索してみると結構あるようです。

というわけで、関与先からの相談を発端として、私め派遣法についていろいろ勉強させていただきました。やはり、最後に頼りになるのは法律条文です。
それを足掛かりに厚生労働省のサイトの確認、めったにはないのですが解釈に迷ったときには労働局の担当官に問い合わせて教えていただく。
私の場合、開業社労士であることと名前も名乗り、自分がどこまで調べているかも説明してから質問します。皆さん、とても親切に教えてくださいます。
今般もこれでこの問題については理論武装できました。

社労士会の研究会でいっしょだった会員は、「僕なんか、厚生労働省の担当部署に電話して聞いちゃうよ」と言っていました。
さすがに、私はそこまではしたことはありません。
彼はとても勉強熱心な方でした。
すでに故人となった方です。
でも、こうして時々思い出すので彼は私の心の中で生きているんだなと思うのでした。
折しも暦は9月の始まりです。当地の今日は相変わらず猛暑なのですが、心なしか風がかすかに秋の気配がします。
酷暑もいつか終わりがくるんだろうなと思いつつ、知識と情報を仕入れてしっかりと仕事しましょう。


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