
先週みたテレビ番組「報道特集」でもその一つの事例を取り上げていました。
コロナ禍で仕事を失い、どうにもならなくなって、ネットで見つけたある社団法人Xに助けを求めたAさんは、Xの支援を受けて生活保護を受給でき、生活保護者に対する住宅援助費用も受けられることになり、Xの紹介でアパートを借りることができました。
家賃は、住宅扶助として受けられる上限額と同額です。
しかし、このアパートはかなり古くて近隣の人たちから「よく借り手がつくね」と噂されるような物件であり、設定された家賃は相場よりもかなり高額です。
それでも、Aさんと同様にXに支援を受けた人で満室となっています。
Aさんは、最初にXの担当者に言われるままに預金通帳や印鑑、免許証、マイナンバーカードなどを預けてしまっていました。
就職活動をしようにも身分を証明するものがなく、返してもらうように要求しても返してもらえず困り果てて、Aさんのような人を支援している弁護士に相談します。
結論から言いますと、Aさんは弁護士の支援により預けたものを何とか取り返し、その後別の自治体に移ってから就職もできて、再出発できたそうです。
番組の中では、Xの実態について驚くようなことが暴かれていきます。
Xは老朽化して借り手がつかないような アパートにAさんと同様な状況の人を「支援」するとして、満室にすることができています。
生活保護を受ければ、それに伴い住宅扶助が受けられ、自治体にもよるのでしょうが、人手不足だったりすると適正な家賃かどうかはあまり問題にされず、上限額までの扶助を受けられます。
番組では明確にされていませんが、Xは不動産会社とも組んでいる様子です。
その不動産会社は、必ず満室になり家賃も必ず支払われるので利回りの良い投資物件としてこれらのアパートのオーナーを募っています。
オーナーはその話に乗って購入しているようで、番組の取材に答えて、「生活保護の人が入るとは聞いているけど・・・」と言葉を濁します。
実態について知っているのかは定かではありません。
Xのしていることは法に触れないのだろうか。
家賃の設定はアパートの持ち主が決めることだし、オーナーと借り手の間の契約の問題だから相場より高くてもそれをもって法違反とはできないと思いますが、自治体の担当者が確認して、あまりにもその近隣の相場とかけ離れているようなら、おかしいと言えるのではないかと思います。
せっかく住宅扶助費をだしているのに、それに相当する物件に住めないのであれば、本人にとっての利益にはなりませんし、支援している金額が無駄に使われていることになりますから。
しかし、御多分にもれず人手不足でなかなかそこまで手が回らないというのが実態のようです。
ただ、Aさんから預かったものを本人が返してほしいと言っているのに返さないのは「公序良俗違反です」とAさんに付き添って返却を求めに行った弁護士さんが、なかなか返却しようとしないXの担当者に言っていました。
はるか昔、私が受けた社労士試験で当時の生活保護者の人数に関する問題が出たことがあります。
生活保護法って、社労士の範疇の法律なのかなと思いました。
「労働・社会保険諸法令」の中に入るようです。
介護保険も入るし、本当に社労士の守備範囲は広いです。
それにつけても、Xのような組織はこの世の中にいろいろあるようです。
Xにとっては、Aさんのような入居者にずっといてもらいたいから、Aさんが再就職して自立できないように免許証などを「預かる」と言って奪ったのでしょうか。
ぎりぎりで困っている人に助けるふりして親切ぶって近づき、利益を得ることをビジネスとするとは、恥ずかしいという気持ちはないのかな、あったらやらないか、自分の大切な人っていないのかな、その人に誇れるような仕事をしたいよね。
そんな話が通じる人たちではないのかなと思う今日この頃。
当地の本日は、夜中に降った雨のせいか、朝から幾分涼しく秋の気配が感じられる日です。
秋は物思う季節。何もできない私ですが、あれこれ考えることはできます。
考えることだけは続けたいと思います。


