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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる16年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

パワハラが起きた時の対処

 先週、所属する社労士会の研究会で、パワハラについての話題がでました。
会員の顧問先でのことで、他の会員の意見が聞きたいということで話題となった事案で、詳細は控えますが、あらためてパワハラについて考える機会となりました。
私は、個人的には「すべての事案の回答は法令の中にある」と考えていますが、現場では法律論をふりかざすだけでは解決できない場合もあるというのは理解しているつもりです。
それでも、お客様に説明する場合には、必ず法令の根拠を示してお話します。
皆さん、熱心に聞いてくださいます。
「法律なんて難しい話はいい」などと言う方はいません。
というわけで、パワハラについてもまず根拠となる法令については何度も読み返しています。
根拠となる法律「労働施策の総合的な推進並びに労働省の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」第30条の2には、「パワーハラスメント」という文言はいっさい出てきません。
「パワハラをしてはいけない」とも書いてありません。
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって」、「業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの」により雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、相談に応じ、適切に対応するための体制の整備や必要な措置をしなさいと書かれています。
要するに、事業主に課されているのは、パワハラのない職場環境とするための管理措置義務なのです。

 日頃から研修を行ったりして従業員や管理職の意識を高めることや、相談窓口の設置をして相談を受け付け、相談があった場合には迅速で適切な対応が求められます。
パワハラの判断基準などについては、厚生労働省が指針(令和2年1月15日厚生労働省告示第五号)を出していて、パワハラについて具体的事例などを詳細に記載しています。
また、人によって感じ方が違う場合もありますから、そのような場合は、「平均的な労働者の感じ方」を基準にするとも言っています。
これは、会社側にとっては少し気が楽になるかもしれません。
ある労働者が敏感に反応してパワハラを訴えたとしても、同じ言動について、それを見た、あるいは同じ人から同じような言動を受けた同僚の多くが、パワハラとは感じなかったと言えば、パワハラではないとされる可能性が高くなるわけですから。
パワハラについては、セクハラのようにかなり明確に線引きができる言動とは違い、当事者の関係性や日頃の付き合いの度合など、言動そのもの以外の要素もからんでくる場合もあり法制化は難しいと言われていましたが、法制化されることとなり、今まであまり積極的でなかった会社も管理措置をせざるを得ない状況となっています。

パワハラの相談を受けたら、まず事実確認ですね。
「平均的な労働者の感じ方」が重要なポイントとなるのですから、社内の他の従業員に対するヒアリングも重要となります。
行為者の言動の詳細もできる限りきちんと調べなければなりません。
もし、パワハラの事実があったことが確定的となった場合は、まず、被害者に謝罪して被害の実態に応じて会社のできることをしていかなければなりません。
同時に何故、そのようなことが起きたのか原因を探り、それをもとに二度と起こらないように再発防止策を講じる、というところでしょうか。
それらは、当事者のプライバシーに配慮しながら迅速かつ適切に行わなければなりません。
「管理措置義務」ですから、日頃の職場環境の構築について問われることになるのだと思います。
ポスターの貼付なども効果があるとされます。
ことさらに何かをするのではなく、普段からの心がけ、意識の持ち方が問題となってくるのだろうと思います。

そんなことを考える今日この頃、当地は毎日真夏並みの暑さが続いておりますが、朝晩のふと吹いてくるかすかな風、ふと見上げたときの青空に浮かぶ雲が心なしか高くて、季節は確実に動いているのかなとも思っております。
早く、さわやかな秋風に吹かれてみたいものです。



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