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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働者と取締役の違い

今年度に入ってから、地元の商工会議所の依頼を受けたり、支部管内の市役所等の当番などで、何回か相談業務を行いました。昨日の午後もある市役所で相談を受けたばかりです。


年金のご相談の他に数は少ないのですが、労務関係のご相談もあります。その中で、法令を守ろうとする意識の希薄な事業主が結構いるということがわかります。話に聞いたり、本で読んだりはしていましたが、「オレが法律」なんてタイプの経営者は小規模企業の創業者に見られます。

10人未満ぐらいの小規模な事業所などでは、それで済むこともあるかもしれませんが、組織が大きくなっていこうとする時にそれだと様々に問題が出ると思います。そのために法律があるのですから、経営者としては、法律を基準に組織のシステムをつくっていくことを考えていただきたいと思います。


ある会社では知らないうちに社員を取締役に登記していました。取締役と労働者では立場が全く違います。取締役は労働基準法の適用を受けませんから、労働基準法等にある様々な労働者を守る規定が適用されなくなるのです。


労働基準法では、労働者を「職業の種類を問わず、事業または事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と規定しています。(第9条)


たとえ、取締役という肩書きがあっても、業務執行権や代表権を持たずに賃金を受けている場合には労働者となります。そこに使用従属関係があるかないかが判断基準のひとつとなります。


例えば、雇用契約ではなく請負契約をして働いていたとしても、そこに使用従属性が認められれば労働者であり労働基準法、安全衛生法、労災法などの法律の保護を受けるというのが、判例や学説での考え方です。


新聞販売店で働く新聞配達人が配達部数に応じて報酬を受けていても、単に賃金の支払形態が請負制となっているだけであって、一般に販売店と配達人の間には、使用従属関係があり配達人も労働者であるという通達もあります。


また、別の通達では、生命保険の外務員については、委任による保険外務員と労働契約による募集職員に区別して後者を労働者としています。


労働基準法の各条文の解釈について厚生労働省労働基準局が見解を述べる形で編集されている「労働基準法 解釈総覧」(厚生労働省労働基準局編 労働調査会発行)という本があります。ここには、労働者と認めるかどうかについて、様々な質問と答えがありとても興味深いです。「労働者」になるかどうかということは、当事者にとってはとても重要なことなのです。


前述の勝手に取締役に登記されたというのは、取締役にしておけば労働者性がなくなり会社にとって都合がいいということなのでしょうか。本人が知らない間に登記されていたとしたら、民法上も無効ですし、実態で判断されますので、使用従属関係があり、取締役としての権限がなければ、登記上どうなっていても労働者としての保護は受けられるはずです。


私はご相談を受けた時に、法律ではこうなっていますということを中心にお話します。一方の当事者だけの話を聞いているわけですから、人間関係の様々ないきさつがあるかもしれない問題について、どうこう言うことはなかなか難しいと思うからです。


世の中には、法律だけで解決できることなんてほとんどないと思いますが、考える選択肢のひとつとして「法律」という根拠があるということは当事者にとって選択肢が広がることにつながると思います。私はそれをお手伝いできればうれしいと思っています。


昨日、ご相談を受けた方にも「よくわかりました。来て良かったです」と言っていただけてホットしました。

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