FC2ブログ

おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

店長にも残業代を払って! 大手コンビニ店長が提訴(2)

昨日の記事の続きです。「管理監督者」についての判例をみてみたいと思います。


「管理監督者」性を争った裁判例は下級審に多くあります。


まず、認められた例としては、医療法人の人事第二課長として看護士の募集業務に従事していた労働者について、経営者と一体的な立場にあり、労働時間は自由裁量であり、責任手当て、特別調整手当てが支給されていたということで、管理監督者であるとした例(徳州会割増賃金請求事件 大阪地裁判決昭和62.3.31)


旅行を目的とする会員制クラブを運営する会社の総務局次長が、経理、人事、及び庶務全般の事務の管掌を任せられ、役職手当の支給があるので管理監督者にあたるとされた例(日本プレジデントクラブ割増賃金請求事件 東京地裁判決昭和63.4.27)などがあります。

逆に認められなかった例としては、以下が代表例です。


銀行本店の調査役ですが、毎朝出勤簿に押印し、30分超過の遅刻・早退3回で欠勤1日、、遅刻・早退等は事前に書面で上司に届出など、厳格な労働時間の管理を受け、銀行の機密事項には全く関与していないなどの理由で経営者と一体的な立場にはないとして、管理監督者に該当しないとしました。(静岡地裁判決昭和53.3.28 静岡銀行事件)


従業員40人の工場の課長ですが、工場長代理を補佐するだけで自ら重要事項を決定せず、支給されている役職手当は従来の残業手当より少ない、また、タイムカードの打刻や工場長代理の許可を得て時間外勤務をするなどにより、管理監督者ではないとされました。(大阪地裁判決昭和61.7.30サンド事件)


コック等の従業員6~7名を統制するファミリーレストラン店長について、採用に一部関与し、材料の仕入れ、売上金の管理等を任せられていたが、営業時間内の午前11時から午後10時まで、完全に拘束されて出退勤の自由がなく、仕事内容がコックからウェイター、レジ、掃除、と全てに渡っていて、管理監督者ではないとされました。(大阪地裁判決昭和61.7.30レストランビュッフェ事件)


こうして見てくると、判例も通達にあるように実態に即して判断しているということのようです。


そもそも、何故管理監督者が労働者を保護する規定から除外されるかというと、経営に関する重要事項を決定したり、労働時間についても大幅な自由裁量が与えられているなど、経営者と一体的な者だからという理由です。責任が重い代わりに賃金の面でも一般労働者より優遇されて、はじめて管理監督者と言うことができるのです。


管理監督者を否定した判例は全て、勤務の実態、権限の大きさ、待遇面などを考慮して判断しています。


今、働き盛りの人のうつ病が増えていると言われています。責任ばかり押し付けられて、権限も裁量も与えられていない、賃金面での処遇もよくないなどの側面があるのではないでしょうか。


「管理監督者」とは何かということを、労使ともに考える必要があると思います。


〔今日の参考文献〕労働基準法解釈総覧 厚生労働省労働基準局編 P464~467 労働事件審理ノート 判例タイムズ社 山口幸雄他編 p.106~112

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する
 

勉強家の鈴木さんは既に読んでおられるかも知れませんが、今年5月に、東洋経済新報社から「雇用融解」という書物が発行されました。(1600円+税)
偽装請負、外国人労働、フリーター、パートタイマー、個人請負、謝金雇用……様々な労働の実態が語られています。
もちろん管理監督者の問題も。
もしまだ読んでおられないのであれば、是非一読をお奨めします。

ひますけ | URL | 2007年09月06日(Thu)16:29 [EDIT]


はい、読んでみます。

ひますけさん。
こんにちわ。
その本はまだ読んでいませんので、早速入手して読んでみます。
ありがとうございます。

おばさん社労士 | URL | 2007年09月07日(Fri)10:48 [EDIT]