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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働者派遣の本質は? 「派遣後は特定説」

4月から改正となった男女雇用機会均等法では、妊娠・出産に対する不利益取扱いの対象が大幅に拡大されました。


それらについては、派遣社員にも適用されるということを以前当ブログでも取り上げました。(過去記事参照)


先週、それに関連することを原稿にまとめて私の所属する研究会の定例会で、メンバーに検討していただきました。いろいろご指摘を受けて書き直しということになったのですが、メンバーの1人が「労働新聞」に関係のある記事が出てるよと、その場でコピーをしてくださいました。

ある大学の法科大学院の客員教授をしている弁護士さんの記事なのですが、厚生労働省の出した派遣社員に対する不利益取扱いについての指針に関連して、派遣についての本質的な法律論を述べています。


派遣法では、努力義務ではありますが、紹介予定派遣(派遣先とマッチングすれば派遣先の社員となるための一種の職業紹介を兼ねた派遣)以外は、派遣労働者を派遣先が特定することをしないようにとしています。(26条7項)


派遣契約とは特定の個人を派遣してもらうのではなく、契約上の業務ができる能力と適正のある人なら誰がきても文句の言えない契約なのです。雇用契約はあくまでも派遣元と派遣労働者の間で成されますから、直接の雇用主である派遣元が労働者の選定を自ら責任を持って行い、派遣先がそれに介入すべきではない、また、不当な差別につながりかねないという理由からです。


しかし、義務規定でなく努力規定であるために、現実には「会社見学」、「顔合わせ」なとど称して事前面接的なことも行われているようです。派遣元が派遣労働者を派遣先に面接させたことで精神的損害等を受けたとして労働者が派遣元、派遣先両者に損害賠償を請求した事件(東京地裁判決平成14.7.17パーソンズ等事件)でも「顔合わせ」であり、「特定行為」ではなかったとして労働者の請求が認められませんでした。


さて、法律論にもどりますが、私は派遣労働者の特定はできないとだけ漠然と理解していたのですが、「派遣後も不特定説」と「派遣後は特定説」があるということで、なかなか興味深かったです。


前者の場合は派遣後も派遣労働者の特定はできないとする説です。その説に従うと、派遣元は派遣後も派遣先の承諾なく派遣労働者を取り替えることができるわけです。派遣契約に定められた役務の提供ができていれば、契約を履行したことになるからです。


他方、後者は「派遣元が派遣労働者を決定して派遣先に通知し派遣が始まったら、その後は労働者が特定されたと考える」説です。ですから、派遣元は派遣先の承諾なく勝手に派遣労働者を替えることはできません。


私はどちらかというと、後者の考え方をする方が自然ではないかと思います。派遣労働者の雇用の安定を図るという派遣法の趣旨にも合います。派遣先としてもせっかくいい人が来てくれたと思っていたのに、勝手に替えられるのは不都合ですよね。


民法を勉強したことのある方は、「種類債権」と同じ考え方というと合点がいくかもしれません。


法律の解釈論はやっぱり面白いなと思いました。


ところで、以前、研究会で書いた私の原稿を「税と経営」という雑誌に掲載していただきました。(№1629 8月21日P.24労務相談なんでもコーナー「説得しても産前休業をとらない女性社員への良い対処方法は?」) 


ブログで好き勝手に書いているのと違い、活字になるというのはずしりと責任を感じるものだなあと思い、ちょっぴり怖さを感じました。


〔今日の参考文献〕「労働紛争解決実務講義」河本毅著 日本法令 P.996~1016 労 働新聞平成19.9..10


            

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