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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

提訴は無駄にはなってない。無年金障害者の元学生敗訴

現在の年金制度では、日本に在住している20歳以上60歳未満の人は、全て強制的に年金制度に加入しています。


しかし、今の制度が固まるまでは、強制加入ではなく任意に加入すればよいとされた人達がいました。昭和61年3月以前の被用者(厚生年金加入のサラリーマン、共済組合加入の公務員等)に扶養されていた配偶者、イメージとしては専業主婦(夫)です。それと、平成3年3月以前に学生であった人です。


いずれも収入がないのに保険料を払うのは大変だろうということと、主婦(夫)については、配偶者が老齢厚生年金や退職共済年金を受給するようになると、配偶者加算もつくし、学生についてはいずれ社会人になれば何らかの年金制度に加入するのだから、まあ、いいでしょうということだったと思います。


しかし、これには大きな落とし穴的問題があったのです。

何十年後かに受け取る老齢年金については、それでよかったでしょうが、重い障害を負った時に被保険者であれば受けられる障害基礎年金が、これらの人達は未加入であるがゆえに受給できず、無年金になってしまうということです。


任意加入ですから、加入している人もいたと思いますが、収入のない学生の場合は社会に出るまでの2~3年の間だしと、加入していなかった人が多かったようです。また、障害を負った時のリスクなどについて国はほとんど説明していなかったのではないかと思います。


そのため、無年金となった元学生が国について「立法の不作為」を主張して、東京、新潟、広島で提訴しました。いずれも最高裁までいきましたが、東京、新潟は敗訴、昨日広島の元学生についても敗訴が確定しました。


障害基礎年金は1級で約99万円、2級で約79万円です。十分とはいえませんが、あるとないとではかなり違いますよね。


実は似たような事態が現在でも起こり得ます。障害基礎年金を受給するためには、納付要件が問われるため、初診日の前日以前の被保険者期間の3分の1以上の滞納期間があると受給できないのです。ただし収入が少ないなどで保険料を支払うことができない場合に、免除申請を出していれば、「滞納」扱いにはなりませんから大丈夫です。


今、免除制度は収入に応じて段階制になっています。障害を負った時のリスクを考えて、「払えないからほっとこう」ではなく「払えないから免除申請しよう」という意識を持っていただきたいと思います。免除制度については、社会保険庁のHPで詳細をご覧ください。


今、国は国民皆年金とか、国民の共同連帯とか相互扶助とか言っています。しかし、それはあくまでも制度の中に入り、その中のルールを守り保険料を支払っている人のみが恩恵を受ける仕組みなのです。様々な事情からその中に入れない人については、現行の年金制度では救済されないのです。


国民皆年金を言うのなら、やはり無年金になる人をいかに救うかということにもっと力を尽くすべきだと思います。


前述の訴訟の後、国は任意加入時代に障害を負った人について特別障害給付金(参照)を設けて、月額5万円(2級は4万円)を支給するようになりました。


無年金の元学生たちが提訴しなかったら、この問題はずっとそのままになっていたかもしれません。敗訴にはなったけれど、制度が少しづつ変わったし、提訴はけして無駄にはなっていません。声を上げた方たちに本当にご苦労様でした、ありがとうございましたと言いたいと思います。


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