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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

始業前の掃除って労働時間? 労働時間の概念

今朝の朝日新聞の労働問題を扱ったページの片隅に、読者の投稿がありました。


男子大学生の方のお母さんが、10年以上パート勤めをしているスーパーでは、開店前の「60分」も掃除等をさせられ、ただ働きをしているというものです。


「働き口を探すのは大変だし、働かないと食べていけないので泣き寝入りせざるを得ない」という内容でした。

東京あたりではかなり「人手不足感」が強まっているようですが、地方には働き口が少ないという所がたくさんあるのでしょう。


通常、雇用契約というのは、労働の対価として賃金が生じます。しかし、現実には「これって労働時間?」というような曖昧なものが存在しています。着替えや、朝礼、準備作業、掃除、機械などの点検、さらには、休日の運動会や研修等、等、会社にお勤めしたことのある方なら、思い当たることがたくさんあるはずです。


労働者としては、労働時間に準じたものとして賃金が欲しい、使用者としては、実際に生産活動をしているわけではないのだから、賃金は払いたくないということになるでしょう。


労働基準法ではそれらを特に規定する法律がありません。学説では、①指揮命令説・・・労働者が使用者の「指揮命令下」にあるかどうかで判断する。 ②限定指揮命令下説・・・指揮命令に加えて、その活動の業務性も考慮する ③2要件説・・・使用者がその活動に関与しその拘束が職務性があるか 


以上の説が主なところです。③にいくに従って具体的になり使用者の関与を強く求めるということになります。


最高裁の判例では「労働時間とは使用者の指揮命令下に労務を提供している時間」であり、「労働時間か否かは」労働契約、就業規則、労働協約等の定めによらず、客観的に労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価できるかどうかで決まるとしています。(三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決平成12.3.9)


また、「労働者が就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、または、余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価する」としています。


「指揮命令下」を基準としつつ業務性も考慮した判断のようです。使用者から「余儀なくされた」という表現で明示されなくても、暗黙の了解や圧力のようなもの、いわば「黙示の指揮命令」も含まれると判示したものと思われます。


始業前の掃除についても労働者が自発的にやっているのではなく、使用者の命令、関与、あるいはそれらがなくてもそれを「余儀なくされる」ような黙示の指示などがあってやっているのなら、労働時間ということになるでしょう。


まあ、普通はそういう「圧力」がなければ、60分も掃除なんてしませんよね。雇用環境の難しい地域ではなかなか大変だと思いますが、できれば、泣き寝入りせず各地の労働相談コーナー、や社労士会の労働相談所等で相談していただきたいと思います。話を聞いてもらうだけで、少し気持ちが晴れるということもあると思いますので。


様々な労働条件に疑問をお持ちの方、ご紹介した相談所は全て無料です。電話でも相談できます。どうぞ1人で悩まないで、ご相談なさってください。


〔本日の参考文献〕「労働法」菅野和夫P245~249、「労働紛争解決実務講義」河本毅 P74~82

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