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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

労働時間の概念 補足

19日の記事で書いた「労働時間の概念」(参照)について、少し補足したいと思います。


まず、ご紹介した判例(三菱重工業長崎造船所事件最高裁判決平成12.3.9)ですが、発端は会社側が週休2日制を導入することに伴い、1日7時間半の実労働時間を8時間に変更し、タイムレコーダ方式をやめ、作業場での上司による確認制に就業規則を変更したことにあります。これらは、労組との協議の上、協定を締結した上で行われました。


その就業規則では、作業服への更衣、安全保護具等の装着は始業前に行い、手洗い、洗面、入浴、更衣などは所定の就業時刻後に行うとなっていました。


即ち、実作業をするための準備行為と作業後の身支度などは労働時間ではないと規定したわけです。


それを不満とした社員がそれらが労働時間に含まれること、1日8時間を超えるそれらの時間について、割増賃金の支払を求めるとともに、不利益変更となった就業規則の無効を訴えたものです。

19日に記事にしたとおり、判決では「労働者が使用者の指揮命令下にある限り、労働時間である」とする「指揮命令下説」をとり、また、それらは就業規則、労働契約等によらず、客観的に定まるものとする「客観説」をとっています。


「客観説」については、準備や後始末などの実労働の周辺的な行動は、当事者の合意により決めるとする説もありますが、最高裁はそれを否定したものです。


判決では、「作業服への更衣、安全衛生保護具等の装着は、使用者が安全配慮義務の履行、作業能率の向上、職場秩序の維持など経営管理上の見地から、労働者に義務付けた行為」であり、「本来の作業を遂行するにあたり必要不可欠ないし不可分の準備行為」として、これを労働時間と認めました。


しかし、昼休みに入ってから行われる保護具の着脱、手洗い等は「各労働者の選択であり、その負担によりなすべき」として、使用者は「原則として午前の終業時に労働者を作業場から解放すれば足りる」としています。


更に、終業後の入浴は、労働者に義務づけたものではなく、洗身入浴をしなければ通勤困難といった特段の事情がない限り、使用者の指揮命令下における労働時間とは解されないとしています。


なお、訴えの一つである「就業規則の不利益変更無効」については、「完全週休2日制による利益の方が、労働者が被る不利益を上回っているので、不利益変更には当たらない」とされました。


ここまで読んでいただくと、何となく労働時間の概念がご理解いただけると思います。


着替えや掃除、朝礼、体操、機械点検、交替引継ぎなどはそれが義務付けられている場合は、労働時間としてカウントされます。


また、休憩時間中でも来客があれば応対しなければならないなどの状況は、「手待時間」として労働時間であると考えられています。作業から作業への「待機時間」なども使用者の指揮命令下にあれば、労働時間となります。


仮眠時間については、「場所的、時間的に拘束性が強いか」などで判断されます。(過去記事参照)


とまあ、法律の解釈を書いてきましたが、現実には19日の記事のように労働者側が「ただ働き」をせざるを得ないという場合も多いのではないかと思います。


コンプライアンスの意識の低い会社などでは、「法律の解釈はこうです」なんて言おうものなら、「文句言うならやめてもいいよ」なんてなるんでしょうか。でも、経営者もよくわからないでやっている場合もあるかもしれません。その場合にはやんわりと笑顔で話してみれば、案外「へエー、そうなんだ」となるかもしれませんね。(そんなわけないかなあー)


以上、ちょっと先週の記事についての補足を書いてみました。

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