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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

二重就職で懲戒解雇は有効か?

だいぶ前の祝日、見るとはなしにテレビを見ていたら、「二重生活」という特集をやっていたことがあります。家庭をもち夫と子どものいる女性が、恋人のもとに通いそこでも別の家庭があるかのごとくに生活するという内容でした。


朝、夫と子どもを送り出し、自分の家の家事をこなしてから恋人の家に行き、掃除、洗濯、買い物などをこなす。いわば2軒分の家事をやっているわけですが、家庭をこわさず恋人との生活を楽しみたいからということのようです。そのエネルギーにはまさに脱帽ですね。1軒分の家事だけでヒーコラ言っている私にはとても無理だと、妙に感心して見ていました。


さて、会社員がそのような「二重生活」をしたらどうなるでしょうか。

就業規則で自社以外で就労することを禁止したり、会社の許可が必要としている会社は多いと思います。


法律で兼業が禁止されている公務員と違い、私企業の社員には就労時間以外の私的な時間については、個人の自由が保障されて然るべきですが、多くの判例では、前述のような就業規則の合理性を認めています。


リーディングケースとなるような古い判例をみてみますと、会社に無断で二重就職して働いていた社員を、就業規則違反として解雇処分としたことを有効とした判例があります。(小川建設事件 東京地裁決定昭和57.11.19)


一般土木工事業を営む会社に事務員として就職したAさんは、営業所に勤務し、朝8時45分から午後5時15分まで、電話番や事務作業に従事しました。入社後1月余りたってから、Aさんはキャバレーで会計係等をして働き出しました。午後6時から午前零時までの就労です。


これを知った会社は就業規則上にある「会社の承認を得ないで在籍のまま他に雇われた時」にあたるとして、本来は懲戒解雇だが、普通解雇にすると通告しました。


これに対してAさんが地位保全・賃金仮払いの申請をして、却下されたものです。


決定ではまず兼業制限規定の合理性について述べています。


「法律で兼業が禁止されている公務員と異なり、私企業の労働者は一般的には兼業は禁止されておらず、その制限禁止は就業規則の具体的定めによることになる」として、「就業時間外は本来労働者の自由な時間であることからして、就業規則で兼業を全面的に禁止することは、特別な場合を除き、合理性を欠く」としながらも、


「しかしながら、労働者がその自由なる時間を精神的肉体的疲労回復のため適度な休養に用いることは次の労働日における誠実な労務提供のための基礎的条件をなすものであるから、使用者としても労働者の自由な時間の利用について関心を持たざるを得ず」として、本来労働時間以外の時間は労働者の自由ではあるけれど、使用者がそれについて、関心をもつことは合理性があると認めています。


さらに、「兼業の内容によっては、企業の経営秩序を害し、または企業の対外的信用、体面が傷つけられる場合もあり得るので」兼職について会社の承諾を得るという規定は不当ではないとしています。


次に解雇の相当性についてですが、「無断で二重就職したことはそれ自体が企業秩序を阻害する行為であり」、「雇用契約上の信用関係を破壊する行為」と評価しました。


また、本来の就業時間と重複はしていないが、「毎日の勤務時間は6時間に亙りかつ深夜に及ぶものであって、単なる余暇利用のアルバイトの域を越える」としてその程度にも言及して、解雇を正当としました。


決定では、労働者の私的時間に対する自由を認めながら、就業規則を守らなかったこと、また、二重就職の内容と程度を勘案して判断しているように思われます。


一方、労働者側が勝訴した判例にはどんなものがあるか、長くなったので、明日続きを書きたいと思います。

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