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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

二重就職で懲戒解雇は有効か?(2)

昨日の続きですが、裁判では就業規則上の兼職禁止や会社の許可が必要というような制限規定を認めています。


しかし、その内容や程度を考慮して、実質的には禁止されている兼職にはあたらないとしたものもあります。


①平仙レース事件 病気休職中の女工が近くの工場で軽作業を1日2~3時間、10日間手伝った (浦和地判昭和40.12.16)


②東版印刷事件 病気療養中の写植工が元同僚経営の競業会社で数回写植作業した (東京地判昭和59.2.28)


③定森紙業事件 営業事務員が妻の経営する競業会社での営業に関与した (大阪地決定平成元.6.28)


などがあります。いずれも時間的に恒常的ではなく、身内や知り合いを手伝ったという感じのものです。

また、禁止されている兼業にはあたるが、動機、支障の程度、処分の均衡などから解雇が相当ではないとされたものもあります。


①京浜横浜自動車事件 組合紛争のあおりを受けて収入が減少したタクシー運転手が、待機扱いの間に他社で臨時運転手をした (東京高裁判昭和44.12.24)


②ユニヴァーサルタクシー事件 タクシー運転手が半ば公然と黙認されていた他社での臨時運転手となった (神戸地裁判昭和45.11.11)


などがあります。


一方、解雇が有効とされた事例は、24時間勤務または12時間夜勤明けに8時間に及ぶ鉄工場での作業に従事した保安要員 (永大産業事件大阪地判昭和32.11.13)、タクシー運転手が自ら購入したダンプカーで土砂運搬作業を欠勤して行った (阿部タクシー事件松山地判昭和42.8.25) などがあります。


いずれも本業に支障をきたすような長時間作業などです。また、競業会社の発起人・取締役となった例なども解雇が認められています。


判例では、労働者が適度に休息をとり疲労回復して、仕事に臨むことが労働契約上の義務を誠実に果たすことになるという考え方をしています。使用者側に課せられる安全配慮義務と表裏一体と言ってもいいかもしれません。


本来の業務以外の仕事で疲労して事故を起こした場合など、労働者側にも責任が問われる可能性もあると思います。


いろいろな動機で兼業をするのでしょうが、やはり、臨時、アルバイト的なものにとどめておくということが、無難だと思われます。もちろん、就業規則の条項はよく守りましょう。


経営者としては、労働者の余暇時間は本来労働者が自由に使える時間ということを忘れずに就業規則を作成していただきたいと思います。


〔昨日と今日の参考文献〕別冊ジュリスト№134労働判例百選p38~39 河本毅「労働紛争解決実務講義P409~412

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