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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

人件費削減のしわ寄せはいつも労働者にくる「偽装管理職」

昨日記事にしたゼミナールの講師の先生が、今年の特定社労士の試験は、「管理監督者」あたりを自分は注目しているとおっしゃっていました。


「外れたら大変だから、山かけないでくださいよ」(笑)ともおっしゃいましたが、最近、残業代未払い問題を裁判で扱うケースが非常に多いんだそうです。解雇問題などはずっと数が少ないとか。


当ブログでも過去記事で取り上げましたが、(参照)労働基準法では、労働時間、休憩、休日の規定の適用除外者として、管理監督者を上げています。経営者と一体的に労働者を管理する立場の管理監督者には、労働時間の規制はかえってなじまないという理由からです。


従って、「管理監督者」にはそれなりの管理職手当てが支払われる代わりに、残業代はつかないというのが一般的です。

過去記事にもあるとおり、それを「悪用」して、実態は出退勤の時間を厳格に管理され、仕事もマニュアルどおりやらされるだけで、労働者性が強いのに、「店長」などと役職名をつけて、「管理監督者」だからという理由で、何時間残業しても残業代は0としている会社が、結構あるようです。


昨日のNHKクローズアップ現代でもこの問題をとりあげていました。大手コンビニの店長をしていた男性は、就職氷河期世代。非正規雇用を続けて苦労した末に、コンビニチェーンに「正社員」として採用されます。採用されて1年もしないうちに「店長」になり店の運営を任されます。といっても、自分の裁量部分はほとんどなく、マニュアルに従って仕事をするだけです。


男性はやがて、「店長という管理職」とはいっても実態は、「長時間のただ働きでこき使われるだけ」ということに思い至ります。しかし、また、非正規雇用という不安定な身分に戻るのがいやで、ガマンして働き続けます。月に160時間余り残業したこともありますが、「管理監督者」だということで、残業代は0円です。


結局、うつ病を発症してしまい、現在休職中だそうです。


こんな話を聞くと、就職氷河期世代は本当に気の毒だなあと思います。というより、どこまでこの世代を食い物にすれば気がすむんだろうと、憤りを感じてきます。


少し前に、やはり「偽装管理職」が問題となり、是正勧告を受けた大手紳士服販売店は、実に社員の40%が「管理職」だったといいます。企業としては、人件費を削減しているつもりでしょうが、実はこれは大変リスクの高い行為です。


「管理監督者」について、通達でも判例でも実態を問題とします。①労働時間についての裁量権(出勤、退勤時間が厳格に管理されていない)②職務についての責任と権限がある。③経営者と一体となって、労務管理の決定権、人事考課権などがある。④給料、賞与、などで高い処遇を得ている。それらの条件がそろわなければ、「管理監督者」とは認めていません。


それらがそろっていないのに、残業代を不払いにしていると、労働者側に裁判を起こされたら負けます。もちろん、労働者側も労働の実態を証明しなければなりませんが。


残業代未払いで裁判に負けると、本来支払うべき残業代が2年間分(賃金は時効が2年のため)と、その間の遅延損害金(通常年6分、退職後に賃金の支払の確保等に関する法律を適用すると年14.6%)、さらに、悪質な場合は支払額と同額の付加金の支払を命じられますから、かなりの金額になります。労働者側が多数の人数だったりしたら、会社の出費は大変なものになります。


経営者は法令遵守しないことのリスクをよく自覚するべきです。人件費削減を図りたいのなら、特定の世代や職種の社員にしわ寄せがいかないように、全体で連帯して分け合うことを考えるべきだと思います。

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