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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

サービス残業の温床? 定額残業料制度

今、20代から30代の若い正社員の過重労働が問題となっています。

私の回りでも、親族や知り合いの若い正社員の人たちは、一昔前の同じ年代の人たちに比べて、異常に労働時間が長いと感じます。そのような、彼ら、彼女らの話を聞くと、「定額残業制」をとっている会社が意外に多いことに気がつきます。

通常は残業をした時間に見合った賃金が支払われるわけですが、固定的に毎月20時間分とか、30時間分とか決めて、残業手当を支払う方法です。

このやり方は、労使の労働契約で明らかにして合意されたものであれば、違法ではありません。ただし、賃金の中のどの部分が残業手当にあたるのかを金額を明確にしなければなりません。また、実際の残業時間が定額の残業代の部分を超えている時は、超えた分に見合った残業代を支払わなければなりません。

 

逆に、残業時間数が定額の残業代で予定していた時間より少なかった場合は、労働者が余分にもらったことになります。賃金は、労働の対価として支払われるわけですから、余分にもらった分は法的には「不当利得」ということになり、労働者側に返還義務が生じます。

しかし、そんなことはまずないのが現状でしょうね。定額残業代の制度は、なるべく残業手当の支払を少なくしたい会社側の思惑で行われていると思われるからです。そのため、ほとんどの場合は、実際の残業時間より少ない額の残業手当で我慢させられているというのが現状でしょう。いわゆる「サービス残業」となってしまっているのです。

 

そういうことが、違法であるということをほとんどの労働者は知らない場合が多いようです。また、知っていたとしても、特に中小企業の場合は「社員全員が残業した分全部請求したら、うちの会社つぶれちゃうかもしれないし」なんてことを言います。確かに、中小企業の経営は厳しいと言われていますが、だからと言って法令を無視したり遵守しないというのは、また別の話になるのではないでしょうか。

 

労働者側が、残業時間を定額分より超えているということをきちんと証明できた場合は、労働基準監督署に申告すれば当然認められることになります。賃金の時効は2年ですから、2年分遡って支払わなければなりませんし、もし、裁判を起こされたら、決着がつくまでの利息が上乗せされ、悪質と判断されれば本来の額と同額の「付加金」の支払命令がでることもあり、企業にとっては大変な負担となります。

 

たとえ、中小企業といえどもコンプライアンスの意識は「危機管理」という観点からもしっかり持つべきだと思います。労働者側も定額残業費をなるべく現状に見合った状況に近づけるように交渉するなどしてもよいと思います。本来、そういう交渉は労働組合がやるべきなのでしょうが、中小企業では組合を作ることさえ大変だと思いますから、なかなか解決策を考えるのは難しいですね。若い人達と話をすると、いつも考え込んでしまいます。

 

企業が利潤を上げるために、結局、末端の労働者が痛い目に合わなければならない、こんなことがいつまで繰り返されるのかなあ、何とかならないものだろうかと、師走の街の華やかなイルミネーションを眺めながら、ちょっぴり暗い気分になりました。

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