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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

一派遣労働者が声をあげた成果 違法派遣の摘発

今朝、大手物流会社が行っていた「違法派遣」に対して、厚生労働省が事業改善命令を出す予定という報道がありました。(新聞記事参照)

この物流会社は大手派遣会社から派遣された派遣労働者を、自社ではなく別の会社の倉庫に送り込んで働かせていて、いわゆる「二重派遣」を行っていたということです。「二重派遣」は雇用責任があいまいになり、中間マージンもかさむということで禁止されています。昨年も大手派遣業者が業務停止命令を受けています。

朝日新聞の朝刊では、この摘発のきっかけとなったのは、一派遣労働者の申告だったと報道しています。

 

大手派遣会社に登録していた女性派遣労働者Aさんは、2006年、大手通信販売会社の倉庫での仕分け作業に派遣されます。派遣会社の担当者からは、今回問題となっている大手物流会社の仕事だが、「実際に行くのは別の会社」との説明を受け、「何かおかしい」と感じます。

 

倉庫で仕事の指示をだすのは、通信会社の社員で本来の派遣先とされる大手物流会社は、派遣労働者を送り込むだけでした。

 

派遣法でいう「派遣」とは、派遣会社が直接雇用している派遣労働者を、派遣契約を結んでいる他の会社に派遣して、派遣労働者はその会社の指示命令を受けて働くことです。派遣された会社を素通りする形で他の会社に行かされて、働かされるのは、「二重派遣」であり、明らかに違法行為です。

Aさんの場合、日給が交通費込みで6000円、1日200円の不透明な天引きも行われていました。天引きについては、その後問題となり、派遣会社側が過去2年間分(賃金の時効が2年のため)を返還すると表明しましたが、Aさんには全額返還されませんでした。その姿勢に疑問を持ったAさんは、ネットの掲示板で検索するうち、自分の状況が「二重派遣」で、違法な状態だと理解します。

 

Aさんは、県労働局に実情を話し、給与明細も提出しました。労働局は立ち入り調査をして証拠をつかみ、今回の摘発につながったそうです。

 

違法派遣に限らず、最近、労働基準監督署に労働者が労働基準法違反について申告しても、人手不足のせいか、なかなか動いてくれないという話も聞きます。今回の例は、労働基準監督署のさらに上の機関である県労働局に直接申告したというのが、良かったのでしょうか。違法行為を行っている会社がどちらも大手であり、派遣した労働者の延べ人数が1万人を超えているということもあったのでしょうか。

会社側は、「法令遵守体制に甘さがあった」として処分を受け入れ、今後はコンプライアンス推進課を新設するそうです。法令違反を全く知らなかったとは考えにくいですが、法令遵守しないことのリスクは十分理解できたでしょうから、今後に生かしてくれれば、それはそれでよいのだと思います。

 

私としては、日雇い派遣などという制度は今すぐやめるべきだと思います。しかし、現実にそれがある以上、最低限守るべき法律は守って運用してほしいと思います。でも、こんな報道を見ると、これは「氷山の一角」で、かなりの企業が違法なことをしているんだろうかと疑ってしまいます。

 

かくなるうえは、労働者側がしっかりと自分の現状を把握して、なおかつある程度の「理論武装」をして、声を上げていくことが最も有効なことなのだろうと、あらためて感じました。

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