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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

いくつかの判例法理が明文化された、労働契約法

昨年国会で議決された新しい法律「労働契約法」の施行は3月1日からだろうと言われています。

「ホワイトカラーエグゼンプション」問題ですっかりぽしゃった感じですが、全部で19条と小さくまとまったようです。

ざっと目を通してみると、労働基準法の解釈をめぐり、判例で定着したいわば「判例法理」というものが明文化されたなあという印象を持ちます。

現在、労働基準法の18条の2に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という条文がありますが、これは、平成16年に明文化されたものです。昭和20年代から下級審でぽつぽつと判例が出て、昭和50年代に確立された解雇権濫用法理です。(判例については、私のHPの「判例にみる職場のトラブル(3)解雇権濫用をご覧ください。)

判例で確立された法理をいわば「後追い」する形で法律の条文となったものです。

「労働契約法」の条文の中にも、判例法理の「後追い」的条文が目立ちます。今まで労働法上のひとつの解釈とされていた判例法理を明確に法制化したのですね。

 

例えば第3条第3項では、労使双方に労働契約の権利を行使する場合の濫用を禁止しています。労基法では第2条で「労使双方契約を守って、誠実にやってね」的なことは書かれていますが、「権利の濫用はだめよ」とまでは書いてありません。労使紛争の様々な場面で「権利の濫用はだめよ」ということが判例で出ていますので、それが明文化されたものと思われます。また、第7条では、「使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させた場合」として、就業規則について労基法にはない、「合理的な労働条件を定める」という表現を使っています。

 

「合理的な労働条件」とは、判例でよく使われる表現で、労基法等の法令に合致した労働条件と解釈してよいでしょう。

 

今後は、就業規則について今まで以上に「法令遵守」が求められるものと思います。同じ条文の中で合理的な内容の就業規則であれば、それが労働契約の内容と認められる(就業規則の基準以上の個別の労働契約があればそちらが優先される)とありますので、就業規則の重要性は今後増していくと思います。

 

就業規則は労働者の合意なく一方的に使用者が作成できますが、不利益変更についても、判例が多く出ています。この点についても、第9条で労働者の合意なく不利益変更はできないとした上で、第10条で、①労働者の受ける不利益の程度、②変更の必要性、③変更後の就業規則の内容の相当性、④労組等との交渉の状況、⑤その他の事情、に照らして合理的なものであるときは、不利益変更可能としています。

 

以上は、全て判例により導き出されて確立している解釈です。(大曲市農協事件最判昭和63.2.16、みちのく銀行事件青森地裁判平成5.3.30)

それらがはっきりと法律として明文化された意義は小さくないと思います。今までは、「判例法理があるから、もし裁判になれば負けですよ」とされていたことが、「法律で決まってるんだからだめ」と言えるようになったのですから。

 

その他にも、「出向」や「懲戒解雇」についても「権利の濫用はだめ」ということが明文化されています。

労使で契約を結ぶ場合、どうしても労働者は弱い立場です。この法律は労基法で足りない部分を補うために、古くは、平成5年に日本労働弁護団(労働者側につく弁護士集団)が「労働契約法制立法宣言」を出したり、最近では、「連合」(労組団体)が委員会を作ったりして、労働者側から提唱されていたそうです。

しかし、それらは、当然使用者側の反発を受ける内容であり、今回ようやく落ち着く所に落ち着いたということのようです。

 

私も就業規則を中心に仕事をしたいと思っていますので、今後、出るであろう指針等に注目していきたいと思います。

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