FC2ブログ

おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

氷山の一角? 大手派遣会社の労災隠し

派遣先で事故に遭い業務上のけがを負ったのに、「労災は使わせない、仕事できるだろう」などと言われ、けがの補償をするどころか、無理やり働かせたとして、派遣社員の男性が労基署に訴えたというニュースが報道されています。(新聞記事参照)

男性はいわゆる日雇い派遣で、大手流通会社の荷下ろしの作業中にコンテナの扉に挟まれ、左手薬指を骨折しましたが、派遣会社側は労災補償もせず、「働かないと食べていけない」男性の弱みにつけこむように、無理に働かせたといいます。

その後、けがが悪化し、働けなくなった男性が派遣社員で作る労組に相談、労基署に申告して事態が発覚したそうです。

ここで、整理しておかなければいけないのは、業務上の疾病についての補償等の責任は、第一義的に誰にあるかということです。

 

労働基準法の第8章では、「災害補償」という項目があり、業務上の負傷や疾病について、使用者が補償する責任があるということが明記されています。

仕事中のけがはもちろんのこと、化学物質や粉塵など業務に関連した物質がもとで病気になった場合も、使用者が責任を持って補償しなければなりません。

 

疾病の療養で働けない場合は、1日につき、平均賃金の6割を補償しなければなりません。もし、重度の障害が残ってしまったような場合は、最も重い第1級の場合、平均賃金の1340日分の障害補償を行わなければなりません。(第77条)

その他死亡した場合は遺族に対する補償もしなければなりません。

療養の補償や障害の補償を怠ると、6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金という罰則も労働基準法で規定されています(第119条)

 

それじゃあ、使用者も大変だろうし、何よりも補償が受けられない場合困るのは労働者だということで、できたのが労働者災害補償保険制度です。

 

使用者が保険料を納めて、万が一の時に備えるもので、国が管掌しています。ですから、労災がどうのこうのと言う前に、仕事中のけがの治療費から仕事を休んだ時の補償まで、使用者が面倒をみなければならないのです。労働者側は、当然の権利としてそれらを要求できるのです。

普通は、使用者側も負担が大変ですから、労災を使うということになるのですが、労基署の調査が入ることなどを嫌って、労災を隠そうとしたりすることがあるのでしょうか。せっかく保険料を納めているのだから使えばいいのにと思いますが、何かやましいことがあるんですかね。

 

ということで、「労災を使わせないよ」なんて言ったとしても、業務上の疾病に対する責任から逃れられるわけではありません。責任を負わなくて済むのは、労働者側に重大な過失があり、それについて行政官庁の認定を受けたときだけです。例えば、無免許運転で事故を起こしたような場合です。

なお、派遣社員の場合は、補償責任は派遣元会社にありますが、派遣先会社も労働基準監督署に届け出る義務は負っています。

 

こういうことは、やはり労働者側が声を上げていくしかないのだと思います。前述の男性も派遣社員のユニオンと、労基署に相談したそうですが、随分辛かったと思います。仕事中のけがに対する補償要求も、労基署に申告することも、労働者に認められた権利ですから、遠慮しないで行使してほしいと思います。

 

労災保険については、厚生労働省のHPにあります。

当ブログでも、関連記事が随分あります。

左側のバーの一番下の方の天気予報の下に、「ブログ内検索」がありますので、「労災」で検索してみてください。

PageTop

コメント


管理者にだけ表示を許可する