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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

職場のトラブル解決事例(1)

今、「職場のトラブル解決好事例」(注1)という本を読んでいます。


注1.「職場のトラブル解決好事例」厚生労働大臣官房地方課労働紛争処理業務室 著 保険六法新聞社発行http://www.h-roppo.co.jp/annai.html


「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」に基づくあっせんでうまくいった例をわかりやすくまとめてあり、とても参考になります。
その中で、こういうのは比較的どこでもありそうだなと思うような事例について書いてみたいと思います。


今日は、ミスが多い社員を正社員からパートに変更しようとしたが、当の社員が応じないという例です。

〔事実の概要〕


製造業に正社員として採用されたXは作業ミスが多いことから、製造ラインの各部署を転々とした。(作業長などから転属させてほしいとの希望が相次いだため)結局、オーナー社長Yは、息子の常務がいる総務部に転属させ事務作業に従事させた。しかし、ここでも弁当の発注間違い、コピーミス、極端に遅い作業スピード、諸道具をどこにしまったか忘れて出てこない、等のミスが続出した。


そのつど始末書による指導が続き、常務もこのままでは得意先とのトラブルが生じるかもしれないと危惧するようになった。Y社長はXをパートに変更して賃金を引き下げ、清掃業務に変更したいと考えたが、Xが応じないためY社長があっせんを申請して、Xが応じた。


〔Y社長の言い分〕
  Xに対しては、何とか会社の一員として働いてもらいたい  とできるだけのことはやった。会社の経営状況もありこのまま社員として働いてもらうのは無理。



〔Xの言い分〕


 私はどの部署でも及第点はもらえなかったことは認めるが、清掃業務は本来の仕事ではなく、パートへの身分変更も納得できない。


労働条件は雇い入れの時に文書で示され、労使双方が納得して契約します。
途中で労働者の不利になる変更は本来ならできません。労働者が応じない限り使用者側にはそれを強制できるだけの法的根拠はありません。うーん、でも、このままでは会社に重大な損害を与えることも考えられ、法的手続きにのっとり解雇しかないのでしょうか。その場合、「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当」と認められなければ、解雇権の濫用として無効になってしまいます。


事態は意外な展開をみせます。


あっせん委員もこのままでは、解雇問題となりその合理性をどう判断するかの問題になると判断していました。一方、Xはプライドが高いため、プライドを傷つけない方向で解決を図らないとあっせんが不調に終わると懸念していました。しかし、委員とYだけの話し合いの席で「どうしても解雇するというなら半年後に結婚するので、自己都合による退職ということであれば納得する」とXの方から提案してきたのです。


Y社長もそれを了解して、正社員のまま現行の仕事をして、半年後に自己都合退職するということで和解して解決しました。


Y社長にしてみれば、半年も我慢するのかというところでしょうが、労働者の責めによる解雇となると労働基準監督署長の認定が必要です。Xの性格からしても話がこじれる可能性があります。また、ミスが多いというだけで解雇理由として相当かという問題もあります。本人は努力しているのかもしれないし、犯罪を犯したとか、ギャンブルに狂ったとかとはちょっと違いますよね。


何よりもXが納得して気持ちよく退職できるということが大きなポイントですね。ミスが多いのは自覚していたのですから、「会社は譲歩してよくしてくれた」と内心では思うのではないでしょうか。
Y社長も話がこじれて、Xに恨まれるようなことになってもいい気分ではないでしょう。


人を雇うというのは難しいですね。
採用の時にその人をよく見極められればよいのでしょうが。
普通はもっとあっさり解雇して、労働者側も泣き寝入りという方が多いのではないでしょうか。


この事例は、社内だけで解決しようとしたら結局社長の方も堪忍袋の緒が切れて、「いやならやめろ」となったかもしれませんし、プライドを傷つけられたXが裁判を起こすとか、労働基準監督署に駆け込むとかということになったかもしれません。第三者が入ったことにより、現実的で双方に良い解決策が見つかったのでしょう。


平成13年に施行された「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律」によるあっせんをうまく利用した例ですね。


事業主の方も労働者の方も社内で解決できない場合は、各都道府県労働局に労働相談コーナーがありますので、大いに利用してください。詳細は厚生労働省のHPhttp://www.mhlw.go.jp/  をご覧ください。


 


 

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