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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

偽装請負に実態は雇用関係ありとの判決

当ブログでは開設当初から偽装請負とそれに関連する記事を度々書いてきました。

ブログの左側のバーの下の方の天気予報の下にブログ内検索欄がありますが、そこで「偽装請負」で検索していただくと、関連記事がたくさん出てきます。

先週、それに関連する裁判の判決がありました。

ある大手電機メーカーの子会社でいわゆる偽装請負の形で働いていた社員が、自分は、業務委託契約を請け負っていた会社ではなく、電機メーカーの子会社の社員であるとして争っていた裁判の高裁判決がありました。

一審では認められませんでしたが、今回全面的に主張が認められました。(新聞記事参照)

業務委託契約というのはよくある契約だと思いますが、それを「悪用」して元請会社が自社の社員と同じように、下請会社の社員を指揮命令下において働かせるとそれは業務委託契約とはなりません。

業務委託契約というのは、あくまでも独立した会社同士の契約で相手方の社員に対する指揮命令権はないからです。

 

企業としては人を1人正社員として雇うと雇用保険や社会保険料の負担、その他健康診断を受けさせるとか、福利厚生の面など様々な負担が生じます。それを少しでも避けるために、「派遣」という方法がありますが、これも安全配慮義務や製造業の場合3年の制限期間や、雇用申し込みの義務など派遣法の縛りがあります。

業務委託契約ならそれらの縛りを一切受けず、「他社の人」として働いてもらうことができて負担が減ります。

しかし、本来指揮命令権がないのに指揮命令して働かせるのはもはや請負契約ではありませんから、「偽装請負」ということになるのです。

 

今回の原告は、最初自分の働き方が偽装請負だと知って労働局に告発します。4ヶ月後に直接雇用されますが、5ヶ月ほどで「契約期間満了」を理由に雇用を打ち切られてしまいます。

解雇の無効と当初から黙示の労働契約が成立していたとして、雇用契約上の権利を求めて裁判を起こしたものです。

 

元請(業務委託を発注している会社)の社内で元請会社の社員といっしょに働いていた下請会社の社員に対しては、①元請会社との間に使用従属関係があり、②労働の実態が元請会社の社員同様であれば黙示の労働契約が成立するという判例が過去にもあります。(サガテレビ事件福岡高裁判昭和58.6.7)

今回の判決もそれを踏まえて、原告が大手電機メーカーの子会社の社員の指揮命令を受けて働いていたこと、一緒に朝会を行ったり更衣室や休憩室も一緒で休憩時間も子会社側の指示を受けていたという労働の実態を重く見て、原告と子会社の間に当初から労働契約が成立していたとしました。

解雇は解雇権の濫用で無効となり、月24万円の賃金の支払も命じました。

会社側は上告するそうです。

 

原告は「人をモノみたいに扱う働かせ方は今後一切やめてほしい」と語ったそうです。

私も同感です。

そもそも、いっしょに机を並べたり、製造業ならラインにいっしょに入って同じように働いている人が「他社の人」で、待遇も全く違うとしたら社員もやりにくいでしょうし、社員が働きにくい会社がよい会社とは思えません。

人が働くということはどういうことなのか、企業は社会に対してどういう役割を担っているのか、今一度経営者は考えるべきだと思います。

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