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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる13年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「派遣社員」という呼び名

ある作家が、秋葉原で起きた事件の犯人の報道について言及していました。

「派遣社員」という言い方はおかしいと言うのです。

彼は塗装の仕事をしていたらしいから、本来は「塗装工」とでも紹介すべきではないかというものです。

「嘱託」や「契約社員」が何か事件を起こしても「嘱託」とか「契約社員」とは言わないでしょうということで、一種の雇用形態である「派遣社員」をそのまま職業のように言うのはおかしいというのですね。それどころか差別ではないかと発言しています。

私は「派遣社員」という言い方をすんなり受け容れていたので、この意見は新鮮でしたが、全面的に賛成する気にはなりませんでした。

「塗装工」と言ってしまうと、彼の現在の正確な雇用環境を必ずしも的確に表しているとはいえないと思うからです。

普通「塗装工」というと、雇われてそこで塗装の仕事をしているというイメージですが、「派遣社員」として塗装の仕事をしているというと、イメージは全然違うものになります。

 

彼が雇用関係のあるのは派遣元の人材派遣会社であり、彼はあるときは「塗装工」かもしれないけれど、別の派遣先に行って別の仕事をする可能性もあり、極めて流動的な状態に置かれているわけです。

多分、「塗装工」というのは、自らの意思で選んだ仕事ではないのではないかとも思います。そういう人を「塗装工」と言い切ることに対しての方が、私はちょっと違和感を感じます。

ただ、報道のあり方として、現在の職業を淡々と報道すればいいということになると、確かに「塗装工」と言うべきなのかもしれません。

 

前述の作家は「派遣社員」という言い方にある種の差別の匂いをかぎとっているようです。雇用環境の恵まれない人が事件を起こしたという方向に持っていって、そこにある種の意味を見出そうとする報道のあり方にも疑問を呈しています。

大多数の派遣社員はあんなひどいことをしないのだから、「派遣社員」だからやったという論調はよくないということです。

そうですね。多くの人はいろいろな理不尽な目にあっても耐えているし、人を殺したりは絶対しない。報道のあり方はもっと論議されるべき問題だと思います。

 

では、「派遣社員」という雇用形態は人間の精神に何らかの影響を及ぼすことはないのか?

スキルという武器を持つ一部の派遣社員は別ですが、派遣社員の現状を見聞するにつけ、自分はないがしろにされているという思いを持ちながら働いている人が多いです。

人間は物や機械とは違います。感情があるのです。そんな思いを持ち続けることがいかに精神衛生上悪いかということは考えればわかることですよね。

グローバリズムの嵐の中で企業が利益をあげるためには仕方のないことなのか?

仕方がないからと、若い人たちが希望をもてなくなるような社会であってもいいのか?

私たちは、もっと、もっと真剣に考えるべきだと思います。

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