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おばさん社労士の発信基地 きぼうという名の事務所です。

開業してからまる14年「発信する社労士」を目指して「独立独歩」「自主自立」の活動をつづるブログです。

「搾取・専制」は続く? 与党が日雇い派遣禁止案を出す

労働基準法ができる前の戦前の雇用環境は私もものの本で知るしかありません。

「女工哀史」と言われる紡績工場における過酷な労働、「たこ部屋」に代表されるような炭鉱・土木工事における監禁状態で働かせること、人身売買的な年季奉公(ある一定年数がこなければやめる自由がない。その間は非常に悪い労働条件で働かされる)等、等、

「搾取・専制の労働関係」(菅野和夫 『労働法第七版補正二版』P3)でした。

そのため、労働基準法では「労働関係に残存する封建的遺制の一掃」(菅野前掲)を目指したわけです。

 

ですから、労働基準法では強制労働を禁止し(第5条、注1.)中間搾取も禁止しました(第6条 注2)

注1. 第5条 使用者は暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

注2. 第6条 何人も、法律に基いて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

第6条では、労使関係に関係のない第三者が介入してあっせんなどを行い、利益を得るということを禁止していて、戦前に当たり前のように行われていた「労働者供給事業」を禁止している条文です。

それぞれ厳しい罰則も規定されています。(前者は1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金、後者は1年以下の懲役又は50万円以下の罰金)

 

労働者派遣事業が第6条の中間搾取にあたるのではないかと疑問がわきますが、

「派遣元、派遣先、労働者との三者による労働関係であり、労働関係の外にある第三者が介入する労働者供給事業とはならない」という通達があり、いわば、行政のお墨付きでやってもいい事業となっています。

最初は通訳、秘書などの高度な専門性の高い業種に限定されていましたが、1986年「派遣法」が制定されてからわずか20年ちょっとの間に、ほとんど全ての業種(注3)で派遣がOKとなってしまいました。

注3. 派遣禁止業務 ①港湾運送業務 ②建設業務 ③警備業務 ④病院等の医療関係(紹介予定派遣、へき地、育児・介護休業取得の労働者の代わりを除く)

 

何故そこまで広がったのかは、やはり人を「安く、便利に使える」ということだったのでしょう。

派遣元は人を物のように右から左に動かすだけで、手数料という莫大な利益が得られる、派遣先は人を雇った時に生じる負担(社会保険料や労働保険料)や、求人の負担がなくても労働者をゲットすることができる。

初期の頃はスキルを生かして自由な働き方を望んだ労働者に受け容れられたかもしれませんが、現在の状況は、多くの派遣社員が正社員になりたいけれどなれないから仕方なく派遣社員になっているということではないでしょうか。統計をとったわけではないので、私も正確にはわかりませんが。

 

こうみてくると、今の政治というのは断然経営者寄りなんだなあとわかります(結局昔からそうだったかもしれませんが) 

この秋の臨時国会で日雇い派遣を原則禁止の派遣法改正案を与党が出すそうですが、(新聞記事参照) そんなことをしたぐらいでは、根本的な解決にはならないと思います。

企業を起こして人を使うということについての「覚悟と責任」を経営者が重く考えない限り、「搾取・専制の労働関係」は続くのだと思います。

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